鶴田静氏のベジタリアン文化の歴史は、いろいろな意味で雑学として興味深いものです。
氏はベジタリアニズムを倫理的、栄養学的な理由から普及を目指していると思われるのですが、ピタゴラス、プラトン、イエス、フランチェスコ、ダ・ヴィンチ、ルソー、バイロン、バーナード・ショー、トルストイ、ガンジーといった歴史的な著名人がベジタリアンであったこと、またそうであった可能性を紹介しています。
哲学者シンガーに至るまでには多くの歴史的な実践があることを知ることができるという意味で、この著作は重要だと思われます。もちろん単なる歴史的な読み物としても楽しむことができますが、、、。僕自身はこの著作を読んで多くの人が、道徳的な理由から感覚を持つ動物を殺すことに反対していたことがわかりましたし、共感とともに、今後の食生活その他のあり方を考え直していきたいと感じました。
付け加えるなら、ベジタリアンに時折見かけられる 世界の飢餓は肉食の廃止によって救うことができるはずだ というようなpoliticalなagitationもないのが じつに爽快な読了感を誘います。まさに植物的な雰囲気を持つ著作とでも言いましょうか。著者の非好戦的な人柄があらわれているのだろうと思います。