kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

ヒトの自己家畜化

こんにちは。

 

このところ、人類進化の要因としての、「家畜化」というアイデアについて勉強しています。このリチャード・ランガムと、あとはブライアン・ヘアが最も有名なので、もう少し読んでからまた報告します。

 

善と悪のパラドックス ーヒトの進化と〈自己家畜化〉の歴史

 

基本的な話としては、

 

ヒトがチンプと分岐して、100万年前くらいから現代まで、次第に自己家畜化が起こった。他人への攻撃性が下がる、つまり扁桃体が小さくなり、コルチゾールなどのストレスホルモンが減少する。こうした変化は集団を大きくすることに役立ち、その結果、いっそうの協力関係の構築が容易になり、人類はますます生活圏を広げていった。これは人類にイヌや、あるいはベリャーエフのキツネのような、集団を好む変化が起こったのと相同な変化。ボノボはチンプよりも協力関係を構築しているし、若干だが毛の色も薄くてネオテニー的である。これはヒトの外形にも、性的二型の減少などもあてはまるし、頭蓋骨を含めて骨が薄く細くなったことなどとも軌を一にする。

 

というような主張で、かなりありそうな話だと思っている。少なくても興味深い。

 

とはいえ、そうした共同関係によって何が可能になったのか? それはヘアが仮定するような平和的な意味での狩猟採集だったのかもしれない。彼らはそう考えたいようだ。しかし、同時に戦争でもあったんじゃないのか? ということで、集団内の協力と集団間の抗争の性向が同時に進行した可能性もある。これについては、もう少し考えてから書いてみたい。

 

さてもう一冊。

 

家畜化という進化ー人間はいかに動物を変えたか

 

この本はキツネ、ブタ、ウシ、ラクダ、トナカイなどの家畜化の歴史について書いたもの。しかしエッセイとして書いているようなのに、やや教科書的な記述も多くて、どうもどういった読者を想定しているのかがわからない。ヒトの家畜化の可能性についても、その是非を概説しているが、記述の方向性もないので、あまりおススメできない。

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