kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

土地(と電波)への課税以外は難しくなる

こんにちは。

 

ウーン、この本はなんというか「税をめぐるあれこれのエッセイ」とでも呼ぶべきか。。。テーマとしてはリバタリアン的な視点から、税について語るというもの。

税金の世界史

 

最後に、著者は理想の税制として、「3分の1は土地の固定資産税、3分の1は消費税、3分の1は所得税。これら全部合わせて、GDPの15%程度が限界だろう」というような提案をしている。なぜならアマゾンを見てもわかるように、これまでも多くの付加価値が「どの国で生産されたものか=課税可能なのか?」が明確ではなくなっているからで、こうした場合、税をかけてもサーバーが海外に逃げていくだけになってしまうからだという。

 

経済学者なら、誰でも理想の税制度については考えたことがあるだろう。だが、これが理想なのかどうかは、ボクには疑問が残る。所得税は、ノマドワーカーが増えれば、課税できなくなるんじゃないのだろうか? あと、消費税=付加価値税についても、アマゾンUSから日本人が直接に買う場合には、回避できてしまう。とすると、土地の固定資産税=利用税を考えることができるだけなんじゃないか?

 

土地への課税は確かにソリッドなものだ。東京やニューヨークの都心部には、そもそも住みたい、働いて便利という絶対的なニーズがあり、土地の利用は隠すことができないので、間違いなく課税可能なコアになる。(ところが、政治家は有権者の票を得る必要があるため、日本の税制では小規模宅地(農地も当然)はトンデモなく低い税率(=事実上の補助金)となっている。土地活用の観点から経済的にも非効率的だし、都会にあとから移住したものにとっては不公平な制度だ。)

 

ちなみに、土地への課税は完全に生産活動に中立的なので、この点でも理想的でもある。さらに、これを理解するなら、同じ論理で電波の帯域利用権のオークションが考えられるはず。この2つの利用権の競売=課税だけで十分なんじゃないのかとボクは考えている。

 

本については、まあ、税制度の歴史について、あるいは未来の働き方や生産活動のあり方と税の関係について考えてみたいという人にはオススメできるかも。逆に、ほとんどの人には、あまりおもしろくないだろう。

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