こんにちは。
税金を取るには、所得というフローにかけるものと、資産というストックにかけるものが考えられる。この時代に入って、資産格差がとんでもなく大きくなってきたために、所得ではなくて、資産に課税するという発想が高まってきたのだろう。
エリック・ポズナーは有名なリチャード判事の息子。市場を活用した法と経済学の発想で、いくつかの提案をする。
ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀: 公正な社会への資本主義と民主主義改革
- 作者:エリック・A・ポズナー,E・グレン・ワイル
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2019/12/20
- メディア: 単行本
この本にはたくさんのアイデアが紹介されているが、今日は最初のものだけを紹介する。
「資産の価値を自己申告させて、それに見合った税額を納税してもらう。資産の価値は公開されて、その金額に対しては、誰もが公開入札によってその所有権を得ることができる。」
という制度。資産を保持するいう権利がそもそも公共的なものであり、それには納税の義務が伴うという発想をとるなら、これは非常に合理的だ。さすがVickreyがかなりオススメしていただけのことはある。
なおこの考えは、D・フリードマンもかなり議論している。なんでも公益的な義務を課された、裕福なアテネの市民に対して適用されていたという。
Legal Systems Very Different from Ours (English Edition)
- 作者:David Friedman,Peter Leeson,David Skarbek
- 発売日: 2019/01/14
- メディア: Kindle版
さて、多分 土地と建物という不動産、あとは株式などの整理された証券はこの制度と相性が良いと思うが、金やコインなどはあまり反りが合わない。まあ前者が圧倒的に重要だから、別に良いというだろう。ちなみに、この本の提案には家宝なんかについて書いているから、どうやらもっと細々とした動産もリスト化して、課税するというようなことを考えているらしい。
多分、こういう制度は不可能ではないだろう。フローである所得に課税するよりも、豊かな生活をしているというストック的な実態への課税としては効率的だし、合理的な部分がある。国防・警察なんかでの課税がやむを得ない以上は、一考に値するのは間違いない。さすがはポズナー判事の息子!
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