kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

デフレが諸悪の根源

こんにちは。

 

今日は、前の日銀副総裁であった岩田規久男さんの新書を読んでみた。彼は学習院大学上智大学の経済学名誉教授。間違いなく、マトモな学術活動でも、政治的な活動でも、多分日本の経済学者の中ではもっとも有名な1人。

「日本型格差社会」からの脱却 (光文社新書)

 

彼はリフレ派なので、「デフレが日本をダメにした。過去30年では、生産性の停滞も特に起こっておらず、有効需要が足りないだけで、それが回復すれば問題はない」と主張する。

 

この点については、どうしてもボクには納得できないのだが、その他の

 

  • 日本では労働契約が硬直的にすぎる。生産性の低い労働者に、解決金(12ヶ月程度の退職金)で止めてもらうような、諸外国でも採用されている制度を導入すべき。

 

  • このままでは2030年には退職年金基金は底をつく。若者から搾取して老人に配る現在の賦課金制度を廃止して、1年毎の労働者が支え合う形の、純粋な各年齢での「助け合い」の制度に移行すべき。

 

  • 日本の中小企業対策は、中小企業という存在を守るための制度であり、それは生産性の低いゾンビ企業を延命させているだけ。もっと個人を支える制度に変えて、企業の大きさの最適性の判断は、個別の市場に任せるべき。

 

4.失業給付や生活保護は受けるのは要件があるが、そこから働き出すことが難しいシステムだ。スウェーデンのように、もっと福祉から労働へのインセンティブを高めないと、福祉国家は維持できない。

 

など、などの主張については、すべての経済学者が納得するだろう。

 

 

あとは、1億を超える超高額所得者というのは、ほぼ全員が株式の配当などからのものだが、彼らは20%しか税金を払わない。これは1000万円ほどの年収のサラリーマンと同じだ。実際のデータでも、総合所得が1億を超えると、総合的な税負担率は低下している。だから、こうした資産課税についても累進課税を導入すべき、というものもある。

 

まあ、急速な高齢化を考えれば、こうした資産課税のあり方もありかもしれない。とはいえ、リバタリアンとしては、むしろ、なんで1億儲けたら55%も課税されるのか?という累進性について疑問視したい。

 

 

 

全体としてデフレの評価以外は、納得できるものだった。あえて言うなら、日銀副総裁という政治家を経て、著者がかつて90年代よりもずっと政治(家・活動)寄りの視点を持つようになったことがよくわかった。

 

適度にオススメします。

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