kurakenyaのつれづれ日記

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アリの道徳

こんにちは。

 

進化倫理学についてはマイケル・ルースの著作で終わったように感じていました。しかし児玉聡さんの翻訳になる本を発見したので、読んでみました。

 

進化倫理学入門

進化倫理学入門

 

 

 

内容に特に新しいものはないのですが、とても良く進化倫理学の現状がまとまっていて秀逸、とても楽しい本でした。ちなみに著者ジェイムズは、道徳の「実在論」を信じていることですが、それはプログラムの「実在論」と同じような意味のようです。

 

さて一般に日本人は、「道徳の実在」というのを信じていません。実在論は、道徳というものが、人間の主観・存在とは別に、「客観的に」存在しているという考えです。書いた途端に違和感がありまくりです。あとがきで児玉さんも書いているように、日本で道徳の実在論をあれこれ言うのは、「誰も神を信じない社会で、神の存在についての哲学を論じるような感覚」だということなのでしょう。

 

 

実際、西洋道徳のなかでも有名なカントの「空の星、内なる道徳!!」みたいな義務論には なんでそんなこと感じるの??? と不思議でなりませんでした。ちなみに納得出来ないのは徳倫理学も同じで、ニコマコス倫理学なんてほとんど儒教と同じで、当時のポリスの人間としてはともかく、何の普遍性もありません。

 

ルースとウィルソンの本には、アリの道徳について書いてあります。

 

地底と暗闇への信仰、カニバリズム、他民族の完全な抹殺、奴隷化などが彼らの道徳になるはずで、人間のものとは決定的に違うものになるはず。結局、道徳はたまたま勝った者の規範が共有されて、脳内の配線としてハードウェアに残り、ソフトとしての文化的な規範を受け継ぎやすくなっているだけです(自然主義)。

 

 

ダーウィンとデザイン -進化に目的はあるのか?-

ダーウィンとデザイン -進化に目的はあるのか?-

 

 

現実はそうだとすると、それでは規範や道徳の問題は、どう考えるべきなのか? これについてはグリーンの「モラル・トライブズ」が参考(というかボク的にはほとんど全面的に賛成)になるので、近く書きます。

 

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