- 作者: スティーヴンワインバーグ,大栗博司,Steven Weinberg,赤根洋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/05/14
- メディア: 単行本
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こんにちは.
科学哲学者たちは,ポパーの反証主義のように多くの,科学的発見や科学であることのルールを定めようとしてきました.そうした試みは,近代におけるフランシス・ベーコンの経験的な帰納主義や,あるいはデカルトの演繹主義などが有名です.(297ページ)
「 デカルトもベーコンも,何世紀にもわたって科学研究のルールを決めようとしてきた大勢の哲学者の一人というに過ぎない.科学研究はルールどおりにはいかない.どのように科学を研究すべきかというルールをつくることによってではなく,科学を研究するという経験から,われわれはどのように科学を研究すべきかを学ぶ.そして,われわれを突き動かしているものは,自らの方法で何かを見事に説明できたときに味わう喜びを求める欲求である.」
ワインバーグが主張しているのは,過去のどんな哲学者=現代の科学哲学者も,現実の科学の実践には何の意味ももっていないという,厳然たる事実です.昔も今も,科学者たちは勝手に真理を探すのであって,そこには科学哲学者の主張するような指針=ルールは,まったく相手にも,参考にもされていません.
直感的な仮説からの演繹と,観察からの帰納を,ある程度の日和見主義で適当にミックスして,何かの現象を最終的にうまく説明するのが科学という営みだということなのでしょう. 終
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というわけで,次回は甘利俊一さんの『脳・心・人工知能』から少し.
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