kurakenyaのつれづれ日記

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ウォール街の物理学者

ウォール街の物理学者


この本を友人から勧められたのだが、日本語訳を注文してみると、入手するのに10日以上もかかるということがわかった。バカらしい。即刻、キャンセルしてキンドルで英語版をダウンロードした。まったく日本語の方は電子化もされていないし、値段も高い。本当に日本語教育の副作用そのものだ。


さて、この本は科学哲学者でもあり、数学者でもあるWeatherall という人が書いたものだが、内容がとても素晴らしい。


日本でも平積みされているほどだから、「ブラック・スワン」を読んで、納得した人は多いのだろう。しかし、ブラック・スワンのモチーフは不可知論だ。人間には予測できないこともあるし、それが市場なのだ、と。


だが、科学はそうした懐疑主義を越えて、常に前進してきた。著者も言うように、時に予測の不可能な地震がきて、建物や橋が倒壊するからといって、建築工学を否定する理由にはならないし、また建物自体を作らないという理由にはならない。


同じく、原子力も同じことが言えるだろう。拳銃は治安を維持するためにも、人を殺すためにも利用できる。要は利用の方向性の問題で、科学を否定する必要も、必然性もない。不可知論に陥る必要もないのだろう、あらゆることについて。


おそらく、実感として感じることは、ブラック・スワンは論理的に十分な能力のない人には気分がいいということだ。現代物理学やそれを支える数学はそもそも大多数の人間には難しすぎるのだろう。だからこそ、そうした人間行動や活動への、理知的な理解の試みのすべてを否定するのは気分がいいのだろうということだ。


来週は、この本の中に書かれている、人間活動や心理のWeber-Fechner Lawについて、北海道大学の物理心理学者である高橋先生の研究との関連について、いくつか思ったことを書くことにします。




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