kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

4章 信用拡大が経済循環を誘発する

Money, Bank Credit, and Economic Cycles (LvMI) (English Edition)

Money, Bank Credit, and Economic Cycles (LvMI) (English Edition)



皆さん,こんにちは.


もはや一日中写経をしているという感じです.うーん,禅僧というのはこうした生活なのだろうか?? などと妄想も浮かびます. もうかれこれ60日も続けているというのは,我ながら驚いたものです.春休みが終わるので,その後はペースを下げなければなりません.


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4章は,銀行による信用拡大,(信用拡張??)のメカニズムです.この用語をググると,拡大の方がよく使われているようですが,信用拡張というのは,「信用拡張政策」の場合によく使われるように感じますが,信用拡大は民間銀行の行為だという響きがある. ←僕だけ??


預金者は,預金は自分のもので,いつでも利用可能だと思っています.同じように,銀行もまた,預金は自分たちが使っていいものだと考えるので,ローンに貸し出したり,投資に回したりします.


さて,同じ1つの実在する預金が,2度使われるわけです.さらにその一部が銀行預金になって,,,と繰り返されるうちに,現金の数倍の預金が生じます.この預金は事実上の通貨なので,銀行信用=交換媒体と呼ばれます.


日本の銀行預金の準備金は4%ですから,預金の25倍の銀行信用がローンその他になって,流通している,あるいは可能なわけです.


銀行信用は政府の緩い規制しか受けていないので,景気が良い時はほとんど自由に振り出せます.結果,本来は不可能であった,あるいは採算がとれるはずのない投資が開始されて,ますます景気は加熱します.

しかし,こうした経済の歪みは早晩インフレとなって,爆発します.結局投資は回収できなくなり,経済危機が発生して,取り付け騒ぎ,銀行・証券の破綻が起こり,不況に突入します.


つまりオーストリア学派の理論では,信用拡大を銀行に許すことで,必然的に経済に好不況の波=経済循環が発生します.これをなくすには,銀行の部分準備を許さないことにすれば良いのです.すると緩んだゴムひものような信用拡大=通貨膨張が不可能になり,循環はなくなります.


アカデミックなマクロ経済学では,好不況の原因はナゾのままに残されており,例えばReal Business Cycleではなんらかの生産性ショック,貨幣的なショック,その他が仮定されますが,果たしてそれが計測されたことはないし,そもそも誰もが納得するようなショックは見当たりません.まあ,ある種の不可知論でしょうか,,,


あるいはまたニューケインジアンであれば,多重均衡理論などを使って,あるいは黒点均衡モデルを使って,なんらかの予測の重なりのために(← なんか響きが量子もつれみたいですが,,,)有効需要が低い状態が出現するのだと言います.これもまた,その予測ってところで何なの?? という疑問は残ります.

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ここからは僕の勝手な考えなのですが,おおまかに言って,オーストリア学派の循環論は正しい.が,それは循環の種になるような実物ショックを何十倍にも拡大しているのだ,と言う意味で正しいのです.


Seedになるようなショックはどんなに小さなものでも良いので,それが信用拡大によって増幅されるために,経済全体の固有値のような意味で,振動のようなゆらぎが発生するのだと思います.


僕はどうしてもオーストリア学派の数学嫌いというのが理解できないので,こういう表現になりますが,デ・ソトだけでなく,ロスバードなどもほとんどイミフな侮蔑をもって主流派の学者を非難しているのは,完全に??? です.


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この数学を否定するという立場については また後日書きたいと思います.しかし,おおまかなところでは,この著作はオーストリア学派の正統であり,正しい.それは銀行に部分準備を許さなければ,経済に好不況の波はまったくやって来ないでしょう.そうした社会では,技術進歩に歩調を合わせた緩やかな(あるいは若干の変化はあるかも知れない)生産性の上昇=平均所得の上昇のみが観察されるはずです.


それにしても,こうした見解が仮に正しいとしても,それは“公共財”であり共有地の悲劇です.多くの有権者(+既得権益者としての銀行+政治家)がケインズ主義を信奉したいなら,それは実行されるでしょう.ちょうど,ある種の宗教的世界観と同じで,議論で決着をつけることはできない.


僕が望めるのは,これを呼んでいる皆さんが,本書の情報を(可能な限り)活用して個人として豊かになることです.そうすれば,あるいは人びとも,もっと学者の言うことを聞くかもしれません.(ちょうどバフェットのいうことを聞きたい人はゴマンといるが,ハイエクの言うことを聞きたいのは,奇特な本質論者だけなのですから,,,Amen)


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ではまた.


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