kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

The troublesome inheritance 2

今日は 企画段階で訳出した,日本と日本人についての記述の全部分です.
当然ながら,中国人と日本人は同じである,というスタンスで書かれています.


おそらく日本人は弥生系70%,縄文系30%の混血であることからは
これは正当化もできると思いますし,どれだけかは違っているはずでしょう.
こうしたことは,コインの裏表なので,皆さん ご判断ください.

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p6. 人類の進化は,急速なままに続いてきているだけでなく,地域的にも進んでいる.3大人種であるアフリカ人(サハラ以南のアフリカ),東アジア人(中国,日本,韓国),コーカソイド(ヨーロッパ,中東,インド)では,第5章で見るように,異なった遺伝子が進化してきている.これはそれぞれの大陸には異なった適応をする必要があったことと一致する.自然淘汰によって強い影響を受けているのは,肌の色や消化・解毒などのなるほどというものだけでなく,まだよく理解されていないような脳機能をもコントロールしているのだ.
 世界各地のゲノム解析の結果は,各種の社会科学の公式学会発表に反して,人種が実在していることを明らかにしている.このことは第5章で議論するが,ここで一点だけ指摘しよう.現在では,例えばアフリカ系アメリカ人のゲノムのどの部分がアフリカやヨーロッパに由来するかが特定できる.それは人種というものが生物的な実在でなければ不可能なことなのだ.
 

p16. 経済学者や歴史学者たちは,国ぐにの大きな格差は,資源や文化的な相違のような容認のせいだという.しかし,日本やシンガポールのようにまったく震源のない国が豊かである反面,ナイジェリアのように資源に恵まれた国はとても貧しい.アイスランドはほとんど氷河と冷涼な砂漠に覆われており,ハイチよりも不運であるようが,アイスランドは豊かでハイチは貧困と汚職に苦しんでいる.確かに,文化というのは,そうした違いに十分な理由となる.韓国と北朝鮮という実験では,国民は同じなのだから,北朝鮮が貧しくて韓国が豊かなのは制度のせいだろう.
 しかし,文化や政治制度が国境をこえて自由に行き来できる状況では,格差が長時間続くということを説明することは難しい.人類の急速な進化は,これに対する新しい可能性となる.つまり,人間社会というものは,人間の社会行動の進化に応じて変化してきたということだ.そうであるなら,それぞれの文明にはそれを基礎づける社会行動が存在し,それらはまた社会制度に反映されていることになる.制度というのは,単なる偶然から決まったルールではない.むしろ,他人への信頼や,遵法性,犯罪者への懲罰,互恵性や交易,近隣集団との戦闘などといった,本能的な社会行動から発生した.こうした行動は社会によって少しずつ異なっているため,進化的な過程を経て,制度もまた異なったものになってきたのだ.
 このことは,ある制度を別の社会に移植することが,なぜこんなに難しいのかの説明となる.例えば,アメリカの制度はイラクにはうまく移植できないが,それはイラク人の社会行動が部族主義的であったり,中央政府を信頼しなかったりして,アメリカとは異なっているからだ.ちょうど,イラクの部族社会がアメリカに輸入することができないのと同じなのだ.


p61. MAOAプロモータ遺伝子は,集団によって大きく異なっている.2,3,4,5のコピーが存在するが,コピーの数が多いほどにMAOA酵素も多く生産される.これが,どう人間行動と関係しているのか? 重要な差があることがわかっている.2コピーの個人は,3,4,5コピーの人びとに比べて,非行の割合が高い.アメリカの2,524人へのアンケートによって,ジーン・シーと同僚たちは,2コピーを持つ男性は,過去12ヶ月の間に,窃盗,薬物売買,器物の損壊などの重大な犯罪,また医療手当が必要なほどの傷害事件,ナイフや銃を使った脅迫を行っている割合が高いことを見い出した.女性でも,深刻で暴力的な犯罪を犯す割合が高かったのである.
 もしMAOA遺伝子が異なっているなら,同じように人種でも異なっているのだろうか?その通り.イスラエルのラムバム病院のカール・スコレッキは,ユダヤ人,ベドウィン族,ピグミー族,台湾原住民,東アジア人(中国人,日本人),メキシコ人,ロシア人の7つの集団について,MAOA遺伝子を調べた.解読した遺伝子には41種類の変異が見つかり,それぞれに異なったパターンが見つかり, “集団間には大きな偏差”があったのだ.
 こうしたパターンの違いは,DNAのランダムな変異から生じたものでしかなく,MAOA酵素や行動などに影響を与えていないことも考えられる.しかし,いくつかの分析の結果,「おそらくはMAOAに関連した表現型が,有利に選択されてきた」ことが結論された.つまり,自然選択はそれぞれの集団において特定の行動様式を有利にしてきたのだ.それは暴力的,あるいは非暴力的であることであり,それがMAOA遺伝子の変異のパターンを作り出してきた.しかし,著者たちは検査された集団の行動を確かめていないため,特定の行動性向とMAOA酵素の変異パターンの因果関係ははっきりしていない.



p87. よって,アフリカから出て世界の全てに植民した人類には,大きな淘汰圧がかかってきた.そのため,現在5つの大陸に見られる人種差が生まれたのだ.アフリカ人,オーストラリ原住民,コーカソイド(ヨーロッパ人,アラブ人,インド人),東アジア人(中国人,韓国人,日本人),そしてアメリカ・インディアンである.


p97.その他にも違いからも,東アジア人とヨーロッパ人が早くから分岐したことが示されている.その一つは,アジア人の方が毛髪が太いことだ.アフリカ人とヨーロッパ人の毛髪は細くて,EDARと呼ばれる遺伝子が同じである.それとは違った遺伝子がアジアに広がっていて,漢民族では93%,日本人とタイ人では約70%,アメリカ・インディアンでは60−90%なのだ.370番目のコドンでは,チミンがシトシンに変異しているため,バリンの代わりにアラニンが生成される.このバリン(V)からアラニン(A)への変化は,EDAR-V370Aと呼ばれている.
 EDAR-V370A遺伝子を持つ東アジア人は,太くて豊かな髪をもっている.とはいえ,相関は証明ではないから,どうやってEDAR-V370Aが太い毛髪を生み出しているといえるのだろう? このことを調べようとした研究者たちは,EDAR遺伝子を東アジアタイプに変化させたマウスをつくりだした.マウスは太い毛髪をもっていたため,この遺伝子がアジア人の毛髪の太さの原因んであることが確かめられた.だが,他にも2つの興味深い変化が起こった.
 一つは,マウスの足の裏には,より多くのエクリン腺が生じたことである.汗腺には2種類ある.蒸発によって体を冷やすための汗を出すエクリン腺と,タンパク質やホルモンを分泌するアポクリン腺である.中国人を調べてみると,EDARーV370Aはエクリン腺を増やしていることが,初めてわかったのである.
 この遺伝子を持つマウスはまた,胸が小さいこともわかった.これもまたアジア人女性が,アフリカ人・ヨーロッパ人に比べて小さい胸を持っている理由なのだろう.
 この遺伝子の4つ目の考えられる影響は,東アジア人のもつ,特徴的なシャベル状の切歯である.この点,マウスの歯は人間とあまりに異なっているため,解明するのに役立たなかった.
 一つの遺伝子が,こんなにたくさんの大きな効果を持っていることは,驚きだ.EDARが大きな影響を与えるのは,胎児の発生過程の初期から発現して,皮膚,歯,毛髪,胸などの発達を助けているからである.
 

p99.EDAR-V370Aは,東アジア人の生理的な違いを大きく特徴付けてはいるものの,すべてというわけではない.ほとんどのアジア人と,アフリカ人・ヨーロッパ人の違いには,耳あかの湿性,乾性の違いもある.この違いは,ABCC11遺伝子によって決定されているのだが,乾性の耳あかは東アジアでは普通に見られるのだ.北方中国人,韓国人ではほぼ100%が乾性であるが,南方中国人では85%,日本人では87%である.
 ほとんどすべてのアフリカ人・ヨーロッパ人は,湿性のABCC11遺伝子を持っている.こうした明確な相違は,強力な淘汰があったことを意味する.しかし耳あかの機能は,ハエ取り紙のようなもので,むしが耳に入ってこないようにする程度でしかない.こんな小さな役割が生存に重要であったはずがない.しかし,ABCC11遺伝子は,またしてもアポクリン腺に関係しているのだ.
 全身にあって,ほとんど水を分泌するためのエクリン汗腺とは違って,アポクリン腺は脇の下,乳頭,まぶたなどの特別な場所にあって,やや脂分のある分泌物を出す.耳のある特別なものが,耳あかの分泌となる.アポクリン腺の分泌物は無臭なのだが,皮膚にいるバクテリアによって分解されると体臭となる.
 乾性の耳あか遺伝子を持つ東アジア人は,アポクリン腺からの分泌物が少なく,体臭も少ない.寒さから逃れるために何ヶ月も狭い部屋に閉じ込められた人びとには,体臭がないというのは魅力的な形質であり,性選択で有利になったに違いない.
 さらに,東アジア人の頭蓋は,自然人類学者からモンゴロイドと呼ばれる特徴,整った容貌と,大きな頭部,平たい顔を持っている.モンゴロイドの歯列もまた異なっているが,アフリカ人・ヨーロッパ人に共通した歯よりも,明らかに進化したものだ.東洋人の歯はスンダドントと呼ばれるが,それは現在は水没してしまったが,かつて氷河期にマレーシアとインドネシアに存在していたスンダという名前に由来している.東南アジア人や,そこから移住したポリネシア人はスンダドントである.約3万年前,スンダドントからさらにシノドントが派生したが,それはシャベル状の切歯と,親知らずをもったものだ.北方中国人,日本人,さらに彼らと共通のシベリア系の祖先を持つアメリカ・インディアンは,すべてシノドントなのである.


p145. 世界各地で,原始的な国家を形成することになったのは,村むらの戦争のためだった.「原始的な国家の出現に際して,戦争の証拠が,歴史的,あるいは考古学的に存在する.メソポタミア,エジプト,インド,中国,日本,ギリシア,ローマ,北ヨーロッパ中央アフリカポリネシア,中央アメリカ,ペルー,コロンビア,などがその最も顕著な例である.」と,人類学者ロバート・カーネイロは書いている.


p188.スティーブン・ピンカーは,(イギリスで見られたような)中産階級的な価値観が自然選択されなかった国でも,例えば中国や日本のように,めざましい経済成長は可能だとしている.しかし,中国も日本もイギリスと同じように農業経済が長らく続いていて,マルサス的な制約によって,勤勉で倹約な個人が有利な状況にあった.これらの国ぐにが近代国家になれなかった理由は制度的なものでしかなく,そうした制約がなくなると,経済成長が始まったのである.またピンカーはいう.イギリス人が他の産業革命を経験していない国ぐにの人びとよりも,生まれつき非暴力的であることを,クラークは証明していないのだと.しかしこれは,暴力を引き起こす遺伝子がほとんど特定されていない現状では,要求しすぎだろう.それでも,アメリカ,ヨーロッパ,中国,日本での殺人率は,10万人あたり2人よりも少ないのに,ほとんどのアフリカ諸国では10人を超えているのだ.これは証明とまでは言えないものの,途上国での暴力に遺伝が寄与しているという考えに反するわけではない.
 クラークの主張が最終的に証明されるためには,ヨーロッパ人や東アジア人が近代的な経済に移行するために必要だった社会行動を生み出すような,新しい対立遺伝子が発見される必要がある.しかし,そうした遺伝子はたくさんあって,一つ一つは小さな影響しかないだろうから,特定されるには数十年以上かかるだろう.
 


p194. なぜ産業革命は,労働,土地,資本市場においてイギリスとほとんど同じであった中国や日本へは,すばやく広がらなかったのだろうか? クラークは,イギリスでは中産階級の増殖率が高かったからだという.ブルジョワ的な価値観が広がるのが,中国や日本では遅かったからだというのだ.反対に,経済史学者であるケネス・ポメランツは,ヨーロッパと中国・日本の間には,本質的な差は,ほとんど存在しなかったという.イギリスは,カリブ海アメリカからの資源を獲得したために,中国に存在した制約から逃れることができただけである.彼の結論は「市場の外からの力と,ヨーロッパを超えたつながりこそ,西ヨーロッパが特別なブレイクスルーを成し遂げ,19世紀の経済の特権的な中心地となった理由とされるべきだ.そして,人口と生活水準の未曾有の急成長が実現したのである.」
 進化的な視点から見れば,ヨーロッパと東アジアは農業経済からの淘汰圧にさらされてきて,産業革命が,どういった要因や出来事から生じたのかを特定しても,あまり意味はない.人間の本性というよりも,むしろ社会制度が東アジアの障害物となったように思われる.中国,日本,韓国は,制度さえそろえば,産業革命市場経済に十分に適合する状態にあった.それは日本では,1868年の明治維新であり,中国では訒小平による1979年の改革開放だったのだ.


p196.制度さえ適切なものとなれば,中国,日本,韓国が,容易に近代的な経済を発展させた事実からは,彼らがヨーロッパと同じように,イギリスで記録されているような行動性向の変化を経ていたことは明らかだ.


p203. アメリカへの日本人移民を見てみよう.彼らh19世紀の終わりに,サトウキビ農場で働く農民としてやってきた後,アメリカ本土に移った.一世は,納付や家政婦であったが,勤勉だという評判を得た.二世は,アメリカの大学教育を受けて,専門的な職業を獲得した.1959年までには,日系アメリカ人の世帯収入はヨーロッパ系アメリカ人と並び,1990年には45%も多くなった.
 ペルーでは,日本人労働者は,勤勉で頼りになり,誠実であるという評判を得て,農業と製造業で成功を収めた.ブラジルでは,日系移民はよく働き,仕事に励み,法律を順することで知られた.彼らは成功するにつれて銀行業,製造業にも入り,日本の国土の75%もの面積の農地をも所有しているのである.
 これらの3つの異なった文化において,日本人の一世はすばらしい農民として,二世は専門的職業へと移行しながら,勤勉な労働習慣によって成功している.


p205.トーマス・ソーウェルによって描かれている,成功した移民のすべてについて,その行動は簡単に説明される.それは,産業革命についての説明と同じものだ.ヨーロッパや東アジアの人口は,何千年もの間,効率性が要求される農業経済を生きてきて,他の場所に移住しても有利であった.勤勉,効率性,仲間のつながりは,東アジアとヨーロッパの移民を特徴付けている.特に顕著なのは,日系や中国系アメリカ人は,白人の支配にもかかわらず,より所得が高いことである.これは,東アジアのほうが,都市化してからの歴史が長いことによるのかもしれない.


p210. 東アジアはリン・ヴァンハネンの主張が誤りであることを証明している.中国人,日本人,韓国人はヨーロッパ人やアメリカ人よりもIQが高いが,彼らの社会は,いくつもの美点はあるものの,ヨーロッパとその子孫たちの社会に比べて明らかに成功しているというわけではない.知能が高いことは問題とはならないが,経済的な成功を決める唯一のものではないのだ.では,何が国ぐにの豊かさ,貧しさを決定しているのだろうか?


p211.アセモグルとロビンソンはいう.世界の格差の殆どは産業革命以降に生じている.それ以前の生活水準は,世界のどこにおいても,一握りの支配階級を除けば,画一的に低かった.もっとも豊かな30の国には,産業革命が始まったイギリスや,すぐに広がった西ヨーロッパやアメリカ,カナダがある.そして日本,シンガポール,韓国もある.もっとも貧しい30の国ぐには,ほとんどがサハラ以南のアフリカにあり,それにアフガニスタン,ハイチ,ネパールが加わっている.100年前のリストも似たようなものだったが,シンガポールと韓国は豊かではなかった.


p213.アセモグルとロビンソンは,イギリス名誉革命や日本の明治維新のように,
悪い社会制度は,良い社会制度に取って代わられると主張する.なぜなら,歴史は「つながって」いると同時に,「既存の制度はご都合主義的」であるからだ.そして「幸運も重要だ.歴史は,それ以前の状態を前提にして進むからである.」


p239.社会がオープンでイノベーションに満ちているため,西洋は多くの領域で,驚くほど圧倒的になった.その方法や知識はすべて開かれていて,すぐにでもコピーできたにもかかわらずである.世界のほとんどは,西洋の経済システムに取り込まれている.それでも,西洋の主要なライバルである日本にも中国にも,より多くのイノベーションを生み出す気配はない.もっとも成功している企業のほとんどは,今も西洋にある.アメリカ人・ヨーロッパ人はほとんどの科学的な研究を支配しており,ほとんどのノーベル賞をとっているのである.
 西洋は,軍事力でもリードし続けている.その確立は単純なものではなかった.日本は1905年に対馬海戦でロシアを破り,第二次世界大戦では,ヨーロッパの東アジア支配を奪った.ヨーロッパが植民地支配から撤退したのは,あまりにコストが大きくなってからだ.しかし西洋の軍事力は,17世紀のオスマン帝国の脅威を最後に,圧倒的であり続けている.何世紀もの間,西洋列強の敵は,他のヨーロッパ国家であった.
 西洋科学はテクノロジーを進め,他国を圧倒し続けてきた.近代化に目覚めた日本の科学は,脅威となるかと思われたが,そうはならなかった.中国もまた,科学研究に莫大な投資をしているにもかかわらず,人口が多いということから科学大国になるという保証はない.科学は本質的に破壊的なものであり,少なくとも大きな進展のためには,既存の理論を転覆し,より良い物に置き換える必要がある.東アジア社会は同調性に重きをおき,目上を敬う傾向があるが,それでは科学は大きく実ることはないのだ.


p257.ある社会を特徴付ける制度というのは,文化的に決定された行動と,遺伝的に影響された行動の複合である.文化的な制度は時に保守的であるが,一般的に文化の変化は速いので,文化的な要因は目につく.例えば,戦争は人間社会のある種の制度であるが,この遺伝的傾向を持つ行動が行使されるかどうかは,文化や環境に依存している.ドイツと日本は戦前にひじょうに軍事的な社会を形成したが,今や両方が平和的である.これは遺伝的であるにはあまりに速すぎるものであり,文化的である.もしそういう必要が生じれば,どちらの国も戦争を起こすような傾向を持っていることは間違いない.


p270.進化的な視点からは,西洋文明が急速に衰退することはありそうもない.西洋の社会行動は,イノベーションに報いるような開かれたオープンな社会と経済の源なのだ.それは文化や歴史とならんで,進化によって形成されてきたものであり,近い将来に変化することはない.1500年の時点で,西洋社会は,他の社会よりも探検心に満ち,イノベーティブであった.それは今も変わらない.日本も中国も,西洋社会による科学・テクノロジーの支配に,深刻な脅威を与えていない.潤沢な資金や,十分な教育を受けた有能な研究者が数多く存在しているにもかかわらずだ.うまくいっている制度があるからといって,西洋社会が永遠に支配的であるとは限らない.それでも制度を基礎づける社会行動は,何世代にもわたって続く財産であり,簡単に崩れることはない.東アジア社会は権威主義的,同調的に過ぎるようであり,その国民の有能さにもかかわらず,西洋社会のイノベーションに挑戦できていない.このことはまた,中国政府がヨーロッパの技術的・商業的な機密を盗み出そうと,大変な努力をしていることにも暗黙のうちに現れている.




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