Journey to the Ants: A Story of Scientific Exploration
- 作者: Bert Hölldobler,Edward O. Wilson
- 出版社/メーカー: Belknap Press of Harvard University Press
- 発売日: 1998/07/21
- メディア: ペーパーバック
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今日 こどもの教科書を読んでいたら,ウィルソンの研究として,「アリがエサのありかを知らせるためには,最初に発見した個体が化学物質を出して,他の個体に教えて,それによって他個体がそれを強めてエサの確保を強固に獲得するメカニズムが存在する」ということが,書いてあった.
昔 僕が呼んだときはアンリ・ファーブルの昆虫記から,「ジガバチが,アオムシをいかにして子供のエサにするか?」という話だったと思う.ウィルソンも出世したのだ.いまや,世界のこどもに認められる科学者になったのだ.バイオダイヴァーシティを掲げたのも,良かったのだろう.
25年前,僕の大学時代のスターはウィルソン,アイゼンクなど何人かいるが,そうしたこと自体も懐かしい.僕が大学に入学して,Wilsonへの攻撃事件を聞いた85年当時とは,状況が全く違っている.Socio-biology当時こそ避難されたものの,は現在ではTooby & Cosmides から現代の Kurzbanにいたるまで,Evolutionary Psychology として確立した分野になっている.
が,当初のEvolutionary psychology は都合よく ”人類が分岐した4万年前には,進化は完了している” としてきた.それによって,支持を得てきたのも事実だ.しかし現代では,マラリア耐性,乳糖耐性,青い目など,ますます多くのスイープがここ1万年の間におこっていることもはっきりとしているから,また一段と学問としては,進んだ状態になったといえるだろう.
ところで,ミシガン大学だったかのホークスは,ウルム氷期以降13000年の間に,人類の脳容量は小さくなってきていると主張している.本当らしいのだが,これは不思議だ.あるいはトランジスタの製造プロセスが微細化したのか,あるいはデータのバスが広帯域化したのか,こうした理由からより小さな脳で同じことができるようになったのだろうか? あるいは言語のさらなる発達で,群れに所属する個体間で,各種の能力を並列分散処理=分業の利益,が確立してきたのだろうか.
例えば,ミエリンが良くなったとか,あるいはシナプスの形成効率が上がったとか,ということになるのだろう.興味深い話だ.
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