kurakenyaのつれづれ日記

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自由意志と統計?

先日のPostはNicholas Wadeを単に批判したいのではないのですが,やや表現が強くなりました.なおモノアミンオキシダーゼAのタンデムリピート数が2である場合(低活性である場合),暴力犯罪を犯しがちなことは


http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191886912004047


なんかを読めば明らかです.この2リピートはユーラシア人にはほとんど全く存在していないのです.ちなみに日本では3,4リピートの間に人格の差は存在していなかったというような論文があったと思います.


あと,僕は昔から考え続けていることがあります.それは,「遺伝子は行動の傾向やきっかけにはなるけれども,結局個人はその他の要素で行動判断をするので,遺伝子があるからーーになると決め付けることはできない」というものです.


これは命題としては明らかに正しいのでしょうが,統計的に人間を処理すれば,結局,リスクの高い人は一定の確率で各種の行動をするし,あるいは病気にかかります.この「自由意志」と「集団的な決定論」との関係ははっきりしません.


多くの人は「肥満にならないためは〜〜した方がいいよ」と友人にアドバイスをしますが,「背が高くなるためには,〜〜した方がいいよ」とはほとんどいいませんし,また同時に太っていることはよく本人の責任にされますが,背が低いことを本人の(例えば思春期に運動を余りしなかったとか,牛乳を飲まなかったとか)責任にする人は,全くいません.しかし,双子研究を見ると,身長と体重はほとんど遺伝率が同じなのです.


結局,どんな食べ物が好きか,どれほど運動を好むか,ライフスタイルの全体が肥満を決めているのであって,それは簡単に自由意志で乗り越えられるようなものではないと結論すべきように思われます.(だからアドヴァイスはムダだ,と言いたいわけではないですが.)


難しい問題です.


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