こんにちは.
今日たまたまロンドンで著名な心理学研究者であるIan Dearyの講演を聞いてみた.1932年に11歳で知能テストを受けたコーホートが,60年後から,どういうふうに知的に老化するかという内容だった.
平均的には11歳のIQは70歳のIQと0.5以上の相関を持っているが,それでも彼らのGWAS研究によると,25%程度は11才以降に発現する遺伝子によるらしい.確かに11才以降にしか発現しない要素はその程度あっても良さそうだ.けっこう,人は子どもの時に比べて印象が変化する部分もあるのだから.
もう一つ,彼はAPOE遺伝子(アルツハイマーの病院の一つ)を比べて,4型のリスク遺伝子を持っている人たちは,老年期の成績が11歳時に比べて大きく低下していることを報告していた.なるほど,言われてきたように,APOE4はrisk factorなのだと理解した.
あといろいろあったが,食べ物や肥満など,よく言われていることは,path analysisをすると,実は11歳時点のIQがそれらに影響していて,それらが独立に老後のIQに影響しているわけではないということは興味深かった.何を食べるか? どういった生活をするか? といったことは,完全な自由意志ではなくて,生まれつきの部分が決めているということ.
そうすると,自分で決めることができることって,どの程度なのか? これは行動科学の永遠の謎だ.
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