The Faith Instinct: How Religion Evolved and Why It Endures
- 作者: Nicholas Wade
- 出版社/メーカー: Penguin (Non-Classics)
- 発売日: 2010/09/28
- メディア: ペーパーバック
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Nicholas Wadeの作品は,Matt Ridleyのものと同じく,数多く読んでいるが,僕は結局,こういった人たちのようにサイエンス・ライターになりたかったんだなー,と思い出した.なおこの本では,なぜ宗教を信じる遺伝子が,人類にフィックスしているのかということへの彼なりの説明をしている.
ドーキンスも書いているが,結局,宗教心は人間の社会性の極限的な高さが,内心の自制心や道徳を肯定した体系なんだろう.またウェイドがここで主張しているように,近代以前に宗教が部族の一体化,あるいは地域の道徳的な一体性を保つ上で,有益であったことも間違いないだろう.
最近は年を取ってきたのでいろいろと考えることが面倒くさくなって,授業中も公然と「宗教批判」や「イオンの占いの広場」批判をするが,こうした感覚は多くの学生には違和感があるようで,いつも冷たい視線を浴びてしまっている. 大体のところ,民放の番組を見ると,芸能人はむしろ公然と,超自然を肯定している.否定するのが帰って非人間的だというイメージだ.
おそらく,懐疑心や合理性は,多くの一般の人たちには興味もないし,説得力もないのだろう.いや,かえって非人間的な誹りを受けることなのだ.そこで合理性よりも,むしろ直感的に信じたいものを信じるというだけ,,,ウェイドが言うように,人間は人と同じことを信じて,超自然を信じたほうが,社会的には都合が良かったのだろう.でなかったら,なんで現代社会でさえも,こんなに宗教や超自然が信じられているのか??
明日は,Wadeの近著「Troublesome Inheritance」について書きます.この本は,最近の人間遺伝学の発展を受けて,結局人間の豊かさや社会秩序,科学や技術の発展は遺伝子に原因があることを,ライターとして認めたもの.研究サークルからpreprint textが届いたので,近く報告します.
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