kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

5章以降

先日、ついでに載せてみた、去年から書いている日本語論文が、途切れているという連絡をもらった。
(原田さん、どうもありがとうございます m(__)m

ということで、いかに5章以降をうpします。

うーん、でもこれ、経済学会とかで発表できるとも思えないので、
困ってるんですが 苦

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5. 制度的要因

これまでに検討した要因は、社会的なものではあっても、国家という枠組みによるものではない。例えば、信頼感の醸成というのは国家のあり方とはあまり関係がない。しかし、人間社会の多くの側面が国家制度によって規定されているため、国家制度とそこから直接に派生する状況は、経済に対して大きな影響を与える。以下、そうした要因を検討しよう。

5.1 規制とレントシーキング
 よくアフリカ諸国の停滞の原因としてあげられるものに、多すぎる規制という問題がある(Collier 2007; Acemoglu & Robinson 2012)。一つ一つの役所がある種の権益を担っていて、多くの有料の許可をとらなければビジネスを始めることができない仕組みになっているというのである。これは、公官庁に勤務する公務員が、その裁量権による金銭的な対価を得るなど、国家機関そのものがレントシーキングを行なっている典型例である。同じ事例として、中国やベトナムなどの共産主義諸国における、ビジネスの起業許可に対して賄賂を要求する官僚の腐敗がある。
 官僚による裁量権を通じたレントシーキングは、あらゆる国で行われているにもかかわらず、そのレベルには大きな格差が存在している。上述のJones and Nye (2011)は、IQと官僚の実直さが相関していることを示している。その理由の一つには上述したような、社会内の他人への信頼の欠如も存在しているだろう。あるいは、社会を発展させようという公共的、長期的な目的に変えて、賄賂を受け取るという個人的短期的な利益を受け取りたいという時間選好の問題もあるに違いない。どちらにしても、低い平均IQの国では政治家や官僚による広範なレントシーキングが発生するため、経済効率は低下し、成長もほとんど実現していない可能性がある

5.2 自由貿易制度
 旧社会主義諸国に見られるように、自由貿易制度は国民経済を豊かにする、あるいは国内産業を保護すればするほどに、社会主義的な経済となり、貧しくなっている。むろん、理論的にも、教科書のリカードの比較生産費仮説から始まるように、自由で自発的な財の交換は当事者を必ず豊かにするはずである。しかし、無視できない現実としては、この事実は多くの政治家や評論家には受け入れられていない(Caplan 2008)。
 自由貿易を行えば、経済内の競争力のないセクターでは事業を継続できないことは当然に予想される。そのため、当該ーに従事する有権者は、自由貿易をできるだけ否定しようとする強いインセンティブを持つ。おそらくこのことが、経済学を論理的に理解できない数多くの有権者が、自由貿易を否定する傾向をもつ理由である。自由貿易制度は、長期的には国民経済にとって有益であるとしても、実際には各種の規制があることが普通であるのはこうした理由による。
さて、国家による経済政や貿易政策、金融政策は、国レベルでしか決定できない。このため、大きな外部性が生じている可能性が高い。例えば、Caplan and Miller (2010)は、GSS(General Social Survey)のデータを使い、IQが高い有権者ほど、経済学者と同じような思考をする傾向があることを見出した。知性が高いほど、自由貿易を支持し、雇用の維持・創出という言葉に惑わされないという。教育として表される大きな部分は、IQを反映したものだと結論している。市場への信頼は、効率的な経済の運営には欠かせない考え方であり、自由経済の物質的な繁栄の基礎である。しかし、こうした経済の一般均衡的な性質、長期的な利益を理解するには、そもそもどれだけかの論理を理解する知性が必要だということである。

5.2 民主主義と独裁
 また経済の発展度合いは、民主主義のほうが独裁制よりも、高度である傾向がある。おそらく、各種の非効率が存在する場合に、民主主義は長期的にはその問題をそれなりに適切に処理していく傾向があるのだろう。これに対して、独裁制度では、独裁者がその問題を気にしないことがあれば、改善されることはないだろう。特に、独裁制度を支えているような経済的な特権がある場合には、そうした商行為の独占は長期的には経済を疲弊させるが、独裁制度がそれに依存している以上、決して解消されることがない。
例えば、インドネシアスカルノスハルト政権では、それぞれの独裁者の親族の経営する会社には各種の政治的な優遇を図っていた。こうしたネポティズム独裁制度には広く一般的だが、そうした規制は経済にとっては致命的である。
このように考えるなら、民主主義を採るほうが、経済は繁栄することは一般的である。しかし、そもそも「民主主義」そのものが、近代の西洋文明の生み出した特殊な統治様式である。民主主義が実現するためには、そうした制度に価値を感じる国民が必要であり、そうしたコンセンサスなしには民主主義は成立しない。単純ではあるが、この事実こそが西洋諸国以外では、民主主義はほとんど成立していない理由だと考えるべきなのである。
この問題については、経済に限ったことではないため、後の政治制度についての章で詳述することにしよう。

5.3 各種の制度そのものの内生性
、通常の計量経済学モデルでは、所得に与える影響として教育年数やあるいはPISAなどの学力達成度に加えて、貿易の自由度や政治的な独裁の度合いなども説明変数に入れてきた。しかし、そもそも一国の貿易政策や政治的な腐敗自体がIQによって説明されるべき内生変数である。そのため、こうした変数を説明変数に加えることは、推定の誤りを生み出す。政治経済制度自体の違いが、所得の違いを生み出しているというのは正しいが、その原因は構成員の認知能力それ自体だからである。例えば、内戦はどのような国家においても経済に壊滅的な打撃を与えるが、内戦に陥るか、あるいは話し合いで回避するか、どの程度の期間にわたって内戦が続くかは、諸外国や国際組織からの干渉の影響はあっても、結局は構成員のIQや攻撃性といった要因に帰着される可能性を否定することはできないだろう。
Roth (2010)は、アメリカにおける少数移民であるヒスパニックや黒人、あるいはヨーロッパにおける少数移民である中近東移民の子孫には、現地のヨーロッパ系白人との間に、単なるIQを越えた生得的な精神性の違いが存在すると主張する。それは恣意的な専制君主による支配を越えた「法の支配」の観念や、あるいは民主主義による国家の意思決定という、近代ヨーロッパの生み出した政治制度にまでおよぶ、重大な相違だという。
 アメリカやブラジルでのサンプルからは、IQから個人所得への最大3%程度のリターンが見られる。上述のように国別でみた9%のリターンとの差は、6%以上であるが、これは政治経済制度的な要因によるものだと考えられるだろう。
 今後の研究課題として重要なのは、これらの政治的(強制的・制度的)な要因が、どの程度所得に影響を与えているのか、を推計することだろう。それによって、制度単体を評価することができる。例えば、中国では法の支配がなく、汚職が蔓延しているが、同じ人的資本を持つと考えられる香港では、イギリスの統治によって法の支配が存在していることが、どの程度人びとを豊かにしているのかを評価できるだろう。これには、例えばGovernment Corruption Index などが役立つと思われる。
 これは同時に、前章で見たような、非政治的(自発的・社会的)な要因を評価することも、必要とするだろう。社会内部の信頼が弱ければ弱いほど、大きな組織は相互の監視が困難なために、発達することが難しくなる。こうした無形の要因もまた、影響を推計できると思われる。例えば、犯罪は究極的な信頼破壊行為であるため、その発生率から社会的な信頼のもつ影響を、漠然とでは合っても推計できるのではないだろうか。


6. IQの遺伝率、およびFlynn 効果
 巷間IQは遺伝的であり、環境的、歴史的な影響は受けないと考えられることも多いが、そのような考えはアプリオリに肯定されるわけではない。あるいは、実は、社会学者・文化人類学者・教育学者の常識のほうが、より真理に近い可能性もありえる。つまり、どの人間も、異なった時代や場所で生育するため、その環境は大きく異なっている。単純な栄養状態も違えば、あるいは周辺環境や学校などから受ける影響によって、異なった程度の情報処理能力を発達させると考えるほうが自然だろう。ちょうど、負荷をかけると筋肉が増強されるように、ある種の知的な訓練によって認知能力が上がることが考えられる。あるいはまた、栄養素としての鉄分やヨウ素の不足、あるいは鉛や水銀によって認知能力の発達は抑圧されることが知られている。とすれば、歴史的な栄養環境によってIQは大きく変化し得るはずである。
 ここではFlynn 効果について検討する。Flynn効果とは、ニュージーランドの心理学者James Flynnが報告してきたように、世界中で計測されるIQポイントは歴史的に上昇する傾向が見られることである(Lynn 1982; Flynn 1987)。1920年代からの変化は10年につき3ポイント程度であると推定されているが、その理由や実質的な意義については多くの学説がある。明らかに集団の平均IQは上昇しているが、過去数世紀に比べて天才の数が指数的に増加しているようには思われないため、平均値の上昇は主に低い分布域で起こっていると考えられる。
20世紀を通じて普通教育が一般化し、それに伴ってペーパーテストに人びとが慣れてきたことは疑いない。そうした活動は、IQテストの問題を解くための訓練にもなってきたはずである。また世界的に栄養環境は向上し続けており、各種の寄生虫は減少し、ポリオなどの有害な病原菌も減少している。衛生水準の向上は、乳児死亡率の低下にも現れているし、致死的ではないが、発育に有害な感染症は20世紀にほとんどが消滅している。同時に、有鉛ガソリンは禁止され、水銀灯や水銀電池は姿を消した。これらの鉛や水銀などといった有害な微量物質は、居住環境から注意深く排除されつつある。これらのすべてが人間の成長過程において、神経細胞の発達に対して好影響を与えてきたと考えられる。これらの理由から、実際にFlynn効果は存在してきた、そして特にこれらの要因から不利益を受けてきた人びとが減少した結果、平均IQスコアは上昇してきたと考えるのが自然だろう(Lynn 1982)。
 Flynn (2009b)やあるいはPinker (2012)では、人びとの思考がより抽象的になってきており、その結果が論理規則の推論などの能力の上昇を促してきたのだと主張する。例えば、イヌとウサギはどう関係しているかといえば、現代人にとっては「両方ともがホ乳類である」という抽象的な分類になるだろう。しかし、19世紀の常識では、「イヌはウサギを食べる」、「イヌはペットだが、ウサギは食べ物になる」といった具体的な関係性のみに着目していたという。
本当に人間がより論理的になってきたのか、あるいは栄養状態の改善や環境が改善されてきたのかははっきりしないが、どちらにしても、Flynn効果の実在は間違いない。現在でもケニヤなどの途上国でのIQは上昇が報告されている(Daley et al. 2003)。しかし反面、先進国ではこの効果はすでに終わりを迎えているという論文が相次いでいる(Teasdale & Owen 2005; Flynn 2009a)。

6.1 有害物質の減少、微量栄養素の欠乏
Armor (2003)では、環境要因の与えるIQ への影響が網羅的に列挙されている。例えば、よく知られているように鉛や摂取は神経細胞の成長や機能を妨げ、IQを低下させる(Needleman & Constantine 1990; Bruce et al. 2005)。水道管は塩化ビニールなどの石化製品の登場以前には鉛で作られていることが多かったが、現在は使われなくなった。同じように、水俣病に明らかなように、胎児期の水銀への被曝もまたIQを低下させる(Axelrad et al. 2007)。ヨウ素の不足(Qian et al. 2007) 、貧血による鉄分不足(Lynn & Harland 1998; Agaoglu et al. 2007)などの微量栄養素もまたIQの格差に大きな影響を与えているようである。
日本では1980年にガソリンが無鉛化されたが、アフリカや東南アジア諸国では21世紀に入っても有鉛ガソリンが普通であったことや、各種のサプリメントが安価に製造できるようになってきたを考えれば、Flynn効果が現時点での途上国で起こりつつあるのは当然だといえよう。
こうした環境からのIQへの影響は、平均身長について考えれば理解・納得しやすい。先進国での平均身長は、過去の栄養状態の改善から大きく上昇してきた。例えば19世紀のヨーロッパ人男性の平均は160センチ半ばだったが、現在は180センチに近い。同じように日本でも、大量の人骨から、江戸時代の成人男性の平均身長は150センチ台半ばであったことが知られている。平均値は、タンパクや脂肪分に富む西洋的な食生活への変化にともなって、第2次世界大戦直前まで上昇している。大戦中の低下を経て、再び上昇を続け、1990年までに171センチ程度にまで上昇した。しかし、ここ20年間、成人時の身長はまったく変化していない。負の環境的要素がすべてなくなり、遺伝的なポテンシャルには達した場合、平均身の上昇は止まって安定するのである。同じように、IQについても、遺伝的ポテンシャルに達した後は安定すると考えられる。

6.2 所得からIQへの影響
 Flynn効果は歴史的なスケールで見た、各種の環境要因からIQの発達に対する影響の存在を裏付けているように思われる。それでは所得のような、より社会的な状況の変化はIQに影響を与えているのだろうか。
この点、Christainsen (2013) は、IQから生活水準への影響と、生活水準からIQへの影響とを明示的に分けて分析した結果、生活水準はIQにほとんど影響を与えていないと結論づけている。実際、21世紀のPISAにおける最高得点は上海のスコアだが、寄生虫罹患率などで見た中国の生活水準は、ヨーロッパや日本、韓国、台湾に比べてはるかに低い。あるいは、1980年代以前のボツワナはダイヤモンドの採掘によってサブサハラで最も豊かな国であったが、これまでに計測されたIQは71であり、その周辺諸国とまったく同じである。
またJones and Schneider (2010)でも、戦後の香港のデータを使い、過去60年間の生活水準の大きな変化にもかかわらず、105程度のIQの推計値には変化のトレンドが見られないことを見出した。また同じようにアラブ首長国連邦やクエートなど中東地域では同じ時期に大幅な生活水準の上昇を見たが、85−90という推定値は過去40年にわたって一定していることから、所得水準はIQテストの成績にほとんど影響を与えないと結論づけている。現在でも、所得の高いサウジアラビア(2600ドル)やクエート(40000ドル)と、所得の低いオマーン(2700ドル)のような近隣の非産油国との比較でも、中東の産油国のIQは80で、まったく同じである(Lynn & Vanhanen 2012, PWT 7.1 2012)。あるいは、インドネシアの一人あたりGDP は4000ドル程度であり、その地理的な一部分といえるブルネイは石油を産するために60000ドルを超えている(PWT 7.1 2012)。しかし国民は集団として同質であり、IQは85, 88とほとんど変わらない(Lynn & Vanhanen 2012)。
 こうした結論は、これまでのマクロ経済的な研究からも導き出せるだろうが、むしろ一卵性双生児を使った心理学的な研究からの方が、はるかに大きな成果が得られている。知能の分散を、遺伝子からの影響(遺伝率)と、共有環境(家族など)、非共有環境(固有の友人や病歴、体験など)からの影響に分解して帰責すると、遺伝率は0.6−0.8に及ぶ(Bouchard et al. 1980; Plomin et al. 1994; Bouchard 2004)。また重要視されることの多い家庭環境だが、生後まもなく養子に出された双生児の行動傾向や性格の違いを分析すると、兄弟に共通するような家庭環境や、家族の社会経済的地位はほとんどまったく影響を与えていない(Bouchard 1998; Nagoshi & Johnson 2004)。
 ミネソタでは、黒人の子供を中流階級の白人の養親に育てさせ、その子供のIQが追跡調査された。養子は幼少時には比較的に高いIQを示したが、思春期までには養育環境からの影響は消えて、生物学的な親のIQに回帰したことが報告されている(Scarr & Weinberg 1983)。
 おそらくこれらの行動遺伝学的な研究のもっとも興味深い発見は、IQその他の心理特性は、幼少時には家庭環境の影響をある程度受けているが、思春期以降、そうした影響が消えてしまうということだろう。IQの遺伝率は思春期を通じて上昇し、職業生活を最後の段階において最も高くなる。これが意味することは、幼少期の家庭環境は親が作り出すため、子どもは受動的に環境からの刺激を受けて、環境要因が大きく影響し、遺伝率が低く計算される。しかし、思春期以降の生活は自律的なものに変化してゆくため、環境刺激を生み出すような環境そのものもじぶんで選択できるため、遺伝率が上昇していくのだと解釈されている(Plomin et al. 2001)。
 これらの結果を総合すると、単に長期間にわたって一人あたり所得が上昇してきたということだけでは、IQの全般的な上昇は説明できない。おそらくFlynn効果のように、子どもの養育環境が社会全体の栄養的な充足や、あるいは有害物質の減少などによって変わることでしか、子どものIQは上昇しないように思われる。これまでにアメリカで行われたHead Start Program やPerry Preschool Programなど、大小数多くの格差是正政策が失敗してきた。このため、現在では遺伝を重視する学者は当然として(Loehlin 1975; Jensen 1998)、Nisbett(2010)のような極論はあるものの、はるかに環境要因を重視する学者でも、集団間にはIQの遺伝的な格差が存在することを認めている(Hunt 2011; Mackintosh 2011)。


7. まとめと展望
これまでに、科学技術に依存する現代経財では、IQの偏差がGDPの違いの大部分を説明することを示した。また経済格差は過去400年に生じてきただけでなく、この50年に限っても、より高いIQは高い経済成長を通じて、格差は拡大している。
 国や地域といったマクロレベルでみた場合、IQは1ポイントに付き9%という高い経済的なリターンをもたらすのに対して、個別の国や地域の中では、2−3%のリターンに留まる。 この理由としてまず思い当たるのは、床屋やお手伝いさんの労働など、多くの単純労働は、住んでいる場所が離れている場合には供給できないことである。このため、彼らの所得は、はるかに生産性の高い個人の労働に引きずられる形で、上昇することになる。それが、国内のIQリターンが国際的なIQリターンよりも低いことの、主たる理由だと考えられる。
しかし、それだけではないだろう。個人の経財行動は、ひじょうに多くの外部性を持っているため、個人行動は経済全体にゲーム均衡的な影響をあたえる、また国民のIQは政治力という強制力を持って個人のIQを問わず、均質な影響をあたえる。以下に、純粋人経済的な外部性から、政治的な色彩の強い外部性まで、列挙してみよう。

1. 高い知能は、他人との協調行動を採ることにつながっており、相互に監視できない環境でも、高い信頼をすることが可能である。これが起業などの組織亭な活動、さらには経済活動一般においても効率化につながっている。

2. 高い知能の個人は、より忍耐強く長期に有利な行動を採る傾向がある。このため、閉鎖経済においてはより長期的な成長につながるような、組織的な研究投資活動、組織運営を心がけることが、長期的な成長性を高める。


3. 高いIQの集団は、より優秀な官僚を排出し、また政治家として選出するため、より効率的なインフラストラクチャを構築している。例えば、港湾、空港、道路、携帯電話網などは、国家が設営していることがほとんどだが、その建築、建設、維持がより適切だろう。

4. これは国家のソフト面でも同じであり、高いIQは官僚や政治家の恣意に基づかない「法の支配」を確立させる。法制度としては、私有財産の適切な規定や保護などは、起業や企業活動の円滑な遂行には不可欠である。また、既得権益保護的な法制度や、そこからの賄賂や政治資金の捻出などといったレントシーキングもまた、比較的に少ないだろう。

5. レントシーキングの典型例ではあるが、特筆に値する施策としては自由貿易制度による分業の利益の享受がある。より懸命な有権者は、政治的意思決定過程を通じて、より自由な貿易政策をとる傾向が高く、これが実質所得を押し上げている。

6. さらに最も重要な事項としては、統治のあり方を議論すべきである。投票によって指導者を決める民主主義は、比較的に腐敗を生みにくいが、これに対して軍事的な独裁政治は、当然ながら権力者たちに有利なようにすべてを決定する。独裁的ではない、政権交代が可能な民主主義が定着するのは、その長期的な意義を理解できる知性が必要である。

7. サブサハラによく見られるような部族間の内乱は、経済活動を不可能にしてしまう。暴力ではなく、全体の長期的な利益のために、話し合いによる解決を志向することそのものが、より高いIQを必要とする。共通言語による初等教育の普及、相互理解などが必要だと認識されているが、それらもまた知能が高い集団でなければ困難なのである。

これらのすべてが1IQポイントに付き9%という高い格差を生み出すのである。これまでの途上国援助の多くは、こうした人的資源の違いが存在しないものとして企画、立案されてきたが、自然科学の知見と整合的な社会計画を構想すべき時代だろう。
 IQの発現が成長期の栄養不足によって低下してしまうことは疑いないまた、鉛や水銀などの有害な重金属などの排除という環境改善も重要である。
 過去100年の膨大な資料では、一貫してアフリカ系アメリカ人の平均知能は85である。ところで、プランテーション用の奴隷として連れて来られたアフリカ系アメリカ人の遺伝子プールには、白人の遺伝子が20%以下(Parra et al. 1998) あるいは、22%(Zakharia et al., 2009)というレベルで入り込んでいる(。このため、おそらくもともとのサブサハラ遺伝子プールの発現的なIQは80を越える程度であると考えられる。反面、サブサハラのIQ平均は、およそ70である。
 Lynn and Vanhanen (2002, 2006) におけるサブサハラのIQ推定を強く否定したWicherts et al. (2000) は、サンプルバイアスがない場合には、その平均は82であると結論づけている。奇しくもこの値は、確かにアメリカにおける黒人の遺伝子プールの表現型とほとんど同じである。とするなら、あるいは環境要因が先進国並みになれば、サブサハラのIQは80になるのかもしれない。
 アフリカ諸国や中近東諸国でも、アメリカと同じような栄養状態が実現可能だとするなら、サブサハラ北アフリカ、中近東、南、東南アジア諸国の栄養状態の改善によって、現在の格差を約3分の1以下に縮減することが可能かもしれない。とすれば、途上国支援のあり方としては、これまでのような漫然とした社会政策などではなく、より高い知能につながる有害物質の排除や、栄養状態の改善などのような、より基礎的な支援の方が有効だろう。


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