去年の夏からは、ほとんどの時間をいわゆる「研究」に当てている。
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一つは、アイヌ民族の形成と、そのIQについて。
これはアメリカ人の高校生!!との共同研究なのだが、
けっこう面白い。
ボク自身はアイヌの人には会ったこともないが、
彼らが縄文人に加えて、
オホーツク文化によって形成されたことは、
僕のような全く無知な本土人には新鮮な発見だった。
で、そのオホーツク文化というのは、5世紀から12世紀頃まで
サハリン、網走、カムチャッカ、といったオホーツク海を囲む地域で発達したものだという。
オホーツク文化というのは、
さらにアムール川流域に住むニベキやギリヤートなどと深く関係していて、
非常に北方系のもののようだ。
シベリア、アラスカのインディアンは大きな脳容量を持っいるが、
実際、アイヌの検死を行った、北大の解剖学者、児玉によると、
アイヌの脳は日本人よりも大きい可能性があるという。
あるいは、いろいろと調べてみると、例えば1300年前までのシベリアには、
白人とアメリカ・インディアンの共通の祖先が住んでいたという研究がNatureに載っている。
http://dienekes.blogspot.jp/2013/11/ancient-dna-from-upper-paleolithic-lake.html
ということは、アイヌの特徴とされてきた、白人のような風貌は、東アジア人以前の北方民族(ヨーロッパ人に近い)の遺伝が影響しているということなのかもしれない。
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もう一つは、「遺伝率とSpereman's g が関係しているのかどうか」
というメタ分析をやっているオランダ人との研究。
これは日本には、戦前から60年代までの長いIQ研究があったのだが、
その後は人種差別だということで、
2000年代まで完全に途絶えてしまっていた研究を、もう一度、掘り返すというもの。
これにも大きな時間を賭けて、
東海地方の大学図書館を彷徨うことになってしまった。
大きな共同研究なので、そのうち何か面白いことがわかれば面白い。
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多くの研究を読めば読むほど、いわゆる本当の研究者というのは、
全くブログや啓蒙活動をしていないということがよく分かる。
間違いなく、それは学術的・業績的には無意味であるし、
同時に、一般人に教えるということ自体もとても難しい、
あるいは現実的には不可能だからだろう。
結局、70年代まではともかく、それ以降、現在までの論文はすべてが英語で書かれている。
日本語で書くということがいかに無意味なのか、
ということを示しているのは、残念だが、納得できる。
遺伝子分析にも、科学の論理全般にも、言語的な独自性など存在しないのだから。
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最後に、今年に入ってからは、もう一つの研究をしている。
それは「なぜアジア人はノーベル賞をとらないのか?」というもの。
(小保方さんは間違いなく数年で採るだろうから、別格!!)
しかし、これは僕が思っていた以上に難問であることがわかってきた。
DRD4 7repeatの少なさという常識に加えて、
おそらくはもっと全般的な
populational genetic diverstity にも関係しているようだ。
これらについては、もう少し、勉強を進めたい。
ということで、最近の僕の自然社会科学研究活動を報告しました。
これらは今年中に終える予定です。
では、こうした自然科学的な探求の引退後は、何をするのか?
職が続く限りは、まったく別のことに挑戦したり、
あるいは単純にもっとゆっくりと生きたいと思っています。
それでは今後ともよろしくです m(__)m
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