The Republican Brain: The Science of Why They Don't Believe in Science
- 作者: Chris Mooney
- 出版社/メーカー: Wiley
- 発売日: 2012/04/10
- メディア: ハードカバー
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Chris Mooney の The Republican Brain を読んでいる。Mooney はサイエンスライターであり、これまでにキリスト教原理主義がいかに科学をないがしろにしているかについて、何冊もの本を書いている。科学の普及と社会の進歩発展に対して、キリスト教原理主義が及ぼす悪弊を論難しているという点は、ドーキンスやサム・ハリス、デネットなどのNew Atheists と同系列にある。
さて、この本には、共和党は保守であり、保守性というのは、つまり現状維持を望む心理から成り立っている。現状維持=集団主義=排外主義=忠誠心。これらの一貫した傾向性は、政治心理学、脳科学、遺伝学から、多くが明らかになってきているという。
対して、民主党は進歩主義であり、進歩主義は、知的興味によって最も特徴づけられるという。これと、道徳的なEmpathy principleが相まって、現在の進歩主義を構成している。大学やジャーナリズム、芸術には圧倒的にリべラルが多いのは、こうした理由によるという。その反面、リベラルは実行力に欠ける。
そして、ムーニーがいうには、現在の共和党は宗教的な色彩がひじょうに強まっていて、地球温暖化の否定、進化論の否定、主流の経済学の否定(つまりはオーストリアンですね:笑)、歴史の歪曲(=日本の新しい歴史教科書だな)、をしている。
これらは、実際の事実を無視・歪曲して、自分たちのキリスト教原理に都合の良い世界観を作り出しているのだという。自分たちの心理に合わせて、客観的な事実そのものを書き換えているのだ。相対性理論の否定にまで至っているのは、Conservapidia を見ると明らかだ、と。
http://www.conservapedia.com/Main_Page
こうした話は僕も昔紹介した、John Jost を始めとする、多くの学術研究をまとめたものであり、非常に納得できる。ついでに、このところ、Pinker 、Heidtなどのリベラル派の本ばかり読んでいると、本当になるほど、自分が多くの面でリベラルに近いことが実感される。
しかし、共感原理は理解できるが、それを政府によって実現することができるとは思えないのが、こうした典型的なリベラルの意見との違いになるのだろう。政府自体が、特権者になるだけだろう!? おまけに結局、経済発展がなければ、再分配しようにも、分配する資源が生み出されないように感じるが、、、
さて、アメリカの政治状況はさておき、日本の政治はどうだろうか? アメリカほどには明らかな党派的な差は存在していないように思われる。民主党と自民党、小沢派のどれもが、僕には同じ色彩の、小さなコップの中の党派的な対立にしか見えないのが笑える。
とはいえ、確かに社民党と共産党は、リベラルの極限であることは間違いない。反面、日本国粋主義、あるいは神道原理主義的な保守政党というのは見当たらないが、、、、あ、ネトウヨはそう言えるだろうが、しかし彼らが政党を旗揚げするなんてことがあるのだろうか???
しかし、古事記に基づいて進化論や相対性理論を否定するまでする人がいるのだろうか? このへんはイスラムやキリスト教ほどには、教条的な人が多数になっていないのはどうしてなのだろうか? 今後とも何かしらの理由を考えてみたい。。。