kurakenyaのつれづれ日記

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海賊の経済学

ビーター・リースンの「海賊の経済学」を読んで、
久しぶりに無政府主義について再考しました。
さすがはGorge Mason University の教授だけあって、とにもかくにも参考になる本です。
無政府の社会については、それほど多くの歴史的な文献がないのですが、
あるいは、これがその1つと言えるのかもしれません。

レビュー自体は短すぎるものですが、
以下にAmazon.co.jp への書評を載せますので、
また気が向いたら読んでみてください。

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「海賊の経済学」で著者リーソンは、1720年代までの海賊社会とは、

1,海賊社会は、政府はなかったが、憲法をもち、民主主義的に船長、その他が選ばれていたこと、

2,海賊社会は、船長その他の取り分は、平民の2倍を超えないほどに平等主義であったこと(みなが同意しなければ、海賊行為という共同作業は効率的にいかない)

3、海賊のドクロの黒旗は、反抗するものを虐殺し、降伏するものに慈悲を与えるシグナルとして、うまく機能していたこと

4,勇猛さは特別に遇され(海賊行為を効率的にするため)、さらに公共のために負傷したものは、大きな補償をもって遇されたこと(リスク回避のため)、

5,黒人もまたその働きに応じて平等に扱われたらしいこと(そのほうが海賊行為の効率的遂行へのインセンティブが大きい)

などを、経済効率性の原理から、矛盾なく説明する名著である。国家の法が及ばない場所において、どういった秩序が発生するのかについてはいくつかの先行研究があるが、この海賊の立憲民主主義と同じように、現代社会よりも平等に近いことが多いのは興味深い。

現代人は、国家に多くを期待しすぎて、かえって自らを不自由・不平等にしているという可能性を示唆する痛快な名著である。