こんにちは。
エドワード・ウィルソンは去年亡くなったが、90歳を超えていたので仕方がない。彼は80代に多くの一般向けの本を書いているが、今回は2016年の「真社会性の起源」という(やたらに薄い)本を、1時間ほどで読んでみた。
内容については、ほとんど知られていることばかりなので、ほとんど何も言うことはない。唯一の特筆すべきことは、彼はヒトが真社会性動物だとして断言していること。これは控えめに言っても完全な大間違いだ。だって、ヒトはほとんどの階層で、自分の子供を育てていて、まったくもって自分の生殖を控えてはいないからだ。これは、そもそも「真社会性動物」の定義にさえ反する。
ウィルソンが「ヒトは真社会性である」としている理由は、「閉経後の女性は孫を育てている」とか、「ゲイは宗教的な洗練に役立っている」とかのようだ。これは、多くの学者が??と感じている内容だ。せいぜいが「リカオンやオオカミのように、ある程度の集団的な淘汰圧が存在している」という程度だろう。
とはいえ、彼がヒト、及びその他の生物において真社会性の生物種を見出し、その進化について説明してきた業績はひじょうに大きい。久しぶりに彼の博識に触れたのは楽しかった。おそらく真社会性というのは、たしかにヒトのレベルで達成されれば、スパルタのように最強の集団になるのだろう。
それを望ましいと感じるか、望ましくないと感じるかは、あなた次第だ。
_
_