こんにちは。
コノーズなんかの神経科学の分厚い教科書を読むと、大脳というのは本当に複雑な構造をもっている。
で、「Aに関連する判断をするときにはこの回路、Bに関連する判断に関してはこの回路」などと、多くのfMRI研究をベースにした研究がやたらと紹介されている。
でも、そういう単純な脳機能の説明は、あまり知的な面白みがない。どういった行動をするために、どの大脳部位が付加され、その回路が形成されてきたのか? という進化的な問いに、ほとんど答えていないからだ。
すべての構造は、それに対応する機能を反映しているはずで、その機能が要らないのなら特殊な構造物は、エネルギーの無駄であり必要ない。
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これにちょっと関係するのだが、AppleのSoCである、Apple Siliconがとんでもなくすばらしいという話で盛り上がっている。
今までのメインボードの構造は、汎用のインテルプロセッサー+GPU+ニューラルプロセッサ+DRAM+Lキャッシュみたいな、ブロックの寄せ集めだ。それをアップルのBig SurというOSに最適化されたものに置き換えれば、とんでもなく速くなるし、効率的になるということなのだ。こうした特殊なSoCはどんどん増えている。
素人的には、汎用品を組み合わせてコモディティを作ったほうが手っ取り早そうだ。だから中国なんかはそうしてるんだろう。しかしAppleほどの規模があるなら、特殊なチップを特殊なOSに合わせて、ゼロからデザインしたほうが良い。
で、話を戻すと、人間の脳は人間の行動に最適化されているはずだ。視覚刺激の処理にしても、論理推論能力のモジュールにしても。なので、むしろそういう視点で他の生物との違いを見たりすれば、もっと説得的になるだろう。ドブジャンスキーが言うように「すべての生物学は、進化の視点出みなければ、意味をなさない」
そういえば、昔テスラはNVIDIAのGPUを使っていたが、去年だったかに独自チップのHW2や今ではHW3などを作っている。こういうのも、付近の状況認識という、自動運転に特化したSoCだということは当然に理解できる。
こうしたやり方の違いが、どういうふうに今後の展開に影響するのか? 興味深い。
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