こんにちは。
5億4100万年前のカンブリア紀に、多細胞生物の爆発的な進化が起こって、現在の動物の原型ができあがった。例えばアンモナイト(貝やイカ)や三葉虫(昆虫)なんかや、あるいはセキツイ動物とか。
で、この話が有名になったのは、スティーブン・J・グールドの「ワンダフルライフ」がきっかけだったのだと理解している。ボクも読んだし、もっと専門家であるコンウェイ・モリスの短い本も読んだ記憶がある。
こうした本は古生物学者によるものなので、ハルキゲニアみたいな変な生き物の話はそれなりに楽しく語るのだが、ではなぜカンブリア紀に爆発が起こったのかという理由については、それほど書かれていない。
当時は、そうした理由付けがわかっていなかったのだ。
今回 読んだ本はこれ。
著者パーカーは、「カンブリア爆発が眼という「光スイッチ」が生まれたことで、進化の軍拡競争が桁違いにスピードアップした」という提案をしている。この本は2003年の発売なので、もう17年になる。この間に光スイッチ仮説は完全に正統の地位を確立したので、もはや小さな古典とも呼べるだろう。
確かもう15年以上前なのだが、この光スイッチ仮説を聞いたときに、「あ、そうか。なるほど当然だな」と感じてしまったので、実はパーカーのこの本は読んでいなかった。今たまたま本屋で再発見したので読んでみると、彼は光スイッチ仮説が、いかに当然であるかについて、化石・光学・生態学などをやたらと詳しく解説している。いや持って回って、くどいくらいに丁寧に説明しているのだ。
ダーウィンの種の起源もそうだが、ある意味で自明なのに、それまでみんなが気付かなかったことを説明するのは、実にむずかしい。それ以前のそれなりの多くの学説を否定する必要もあれば、老人を説得する必要もあるのだろう。
さて、眼が生まれたことで進化の軍拡競争が超加速したのは理解できるとして、ではなぜ5億4300万年前にそれが起こったのか? パーカーは浅い海に届く日光量が、その次代に激増した可能性などを指摘しているが?? 放射能などがある臨界量に達するのと同じで、特段の理由はないんじゃないのか??
もう少し話をボクの興味に寄せてみよう。ヒトが、1万年前にウルム氷期が終わってから、初めて農耕牧畜を始めたのはなぜか? それは、ヒトがそうした活動をするに十分な先見性を獲得し始めたからだ。 ウルム氷期によって次第にそれまでのヒト属の知性が高まったという以外に、特段の質的な違いはないと思う。何にでも臨界点というのがあるように思うが、、、
それはさておき、これは名著だ。ぜひとも一読をオススメします。
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