こんにちは。
このところ、ちょっとした用事があって、久しぶりにいくつか哲学的・思弁的な著作を手にとってみた。まずはベストセラーの「なぜ世界は存在しないのか」
この本でガブリエルは「統覚の超越論的存在論」という言葉が、必要以上に「難解な哲学」に典型的な題名だとしている、、、笑える。たしかホフスタッターだったかが、「題名だけで、内容の有意味性を測ることができれば面白い」的なことを書いていたと思う。まったく僕もそう感じて来たのだが、
さて内容はなかなか興味深いものだった。極端に単純化すれば
「近代的な科学や、思索で仮定されるような、斉一的な全体としての“世界”というものは存在し得ない。観念できるような“全体”が存在するとするなら、それを観念する主体はその外側にいるのであるから、その全体には含まれないからだ。するとその観念主体は全体の一部ではありえないのだから、メタ全体を考える必要があることになるからだ」
というような、フレーゲ的というかゲーデル的・論理的なテーゼというかである。
これは面白い考えだと思ったし、感心したが、そのように考えることから得られるインスピレーションがあるのか? という部分はよくわからなかった。おそらくは彼が主張するように、斉一的全体が存在せず、“意味の場”というものを多元化することで、「科学的な世界観から生じるニヒリズム、あるいは人間存在の空虚感」というものを否定してくれることなのだろう。
ガブリエルが天才哲学者なのかどうかはわからないが、使う言葉はやたらと難しいのに、共通の意味を了解し難い観念論哲学よりは、はるかに楽しい。おススメです。
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