kurakenyaのつれづれ日記

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マネタリーベースの急増




上の図は日銀のマネタリーベースの急増のグラフです.



2012年中頃に異次元緩和が始まり,その時点で120兆円だったのが,2016年中頃までに380兆円へと3倍以上に急増しています.これは日銀が市場の国債をおよそ330兆円ほどまで買い取ったのと,さらに株式や債権を買い増しているためです.



マネタリーベースが3倍になった場合,銀行乗数が同じなら通貨供給は3倍になるはずです.しかし現実には次のように,通貨供給の増加はステディに増加しています.








この3年ほどの間に,通貨供給(日銀用語ではマネーストックとか言うらしい)は1130兆円から1300兆円ほどまでステディに増えていますが,急増という感じではありませんね.これはつまり,銀行預金があまり融資に貸出に回っていないということでしょう.銀行の投資先がないということと,現金で溜め込んでいる人が多いということなの両方のようです.


ここで仮に黒田総裁の目論見を達成するためには,さらに通貨供給を増やす必要があるとしましょう.自民党の伝統を受け継ぐ安倍さんは「国土強靭化」などの公共投資が,当然ながらお好きなようです.しかし市場を活かすためには,公共投資よりもヘリコプターマネーで人びとに配るというのが手っ取り早い.



しかしフシギなのは,少なくともこの10年ほどは貨幣数量説が成り立っていないことです.リーマン・ショックのあと,通貨供給が2008年から1050兆円から1300兆円まで増加しています.しかしGDPがほとんど同じなので,そろそろインフレがきても良いはずです.しかし,世の中にまったくそうした気配はありません.



なぜなんでしょうか?? 歴史的に類例を見ない高齢化とタンス預金のせいだというのも,銀行エコノミストの評論ならありなのでしょうが,マトモな学者の意見としてはどうも,,,,  あるいは,近いうちにドカンと来るんでしょうか??



予想インフレ率が実際に上がっていないことについては,また次回を乞うご期待.


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