kurakenyaのつれづれ日記

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通貨・銀行信用・経済循環

通貨・銀行信用・経済循環

通貨・銀行信用・経済循環




皆さん こんにちは.春秋社から,ついにオーストリア学派の決定版を,すばらしい装幀をもって完成出来ました.


僕の今年のほとんどすべての時間をかけた翻訳書「通貨・銀行信用・経済循環」が出版されました.今年のはじめに春秋社から依頼が来たときには,あまりの分量に逡巡したのですが,ちょっと読み進めたり,調べたりすると,素晴らしい本であることがわかり,今年はほとんど全力投球しました.(おかげで,その当時やっていた別の活動を休止することになってしまいました.)


この著作は,おそらく経済学プロパーの部分としてはGarret Jones のTime and Money などと同じように思うのですが,1−3章に法律的な会社における,銀行活動の違法性,預金をローンに貸し出す行為の非道徳性が,その後のオーストリア学派の経済循環論と整合しているのが,本当に素晴らしいのです.


僕はあまり「倫理」というような考えを重視してこなかったので,むかしロスバードが同じような主張をしていた時には適当に読み飛ばしてしまっていました.今回,本書を訳して,「なるほど,倫理や法制度と経済には本質的な関係があるのだ」と通関したわけです.これはまたレオーニやハイエクの考えとも軌を一にしています.こうした偶然(必然)には本当に数学のような美しさを感じます.


自分が物知らずだったということも,単純にありますが,できるだけ多くの人に読んでもらって,現状のマクロ経済学の「標準モデル」に従事する人にも,興味を持ってもらいたいです.また前書きには,カルボ(もしあなたがカルボを知らなかったら,正直に行って,あなたはマクロ経済学者ではない)によるオーストリア学派の再評価も載っていますので,ぜひとも(本物の)経済学者にも読めるものになっています.


あと,ヒックスによるオーストリア学派の再評価もぜひとも読んで下さい.サムエルソンは共産主義を認めましたが,ソヴィエトの最盛期でさえ,消費者の満足度はアメリカより低かったことは認めていないのがフシギです.



やや脱線してしまいましたが,現状のオーストリア学派の到達点として社会科学者すべてに読んでもらいたい一冊になりました 
よろしくお願い致します.m(__)m




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