kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

2章 預金制度の堕落の歴史

こんにちは.


1章の法律に続いて,2章は歴史です.

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古代ギリシャでは,銀行(当時は企業ではないので,銀行家)は神殿で営業をしていた.彼らは預かった金を,初期には契約どおりに保管していたようだが,次第に預金を使うことで利益を上げることができるという誘惑に負けて,使い込むようになっていった.これはイソクラテスが法廷弁護した演説がのこっているために,明らかになっている.


プトレマイオス朝エジプトでは,この利益を得るために国家が直接に銀行をつくった.


これは14世紀ルネッサンスフィレンツェや,その後のカスティーリャなどでも,18世紀のフランスでも同じだった.唯一の例外はオランダ銀行である.それは1600年から1800年まで,預金を完全に保管していたため,ヨーロッパ世界から大きな信頼を得ていた.


その後のヨーロッパでは,完全な準備性というのはなくなり,スウェーデン銀行やイングランド銀行の設立以来,国家の許可・運営する中央銀行による部分準備性が“先進的な”制度として普及した.この考えは現在につづいている.


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さて預金は,「金を預ける」という意味であるにもかかわらず,実際には預けられているのではなくて,貸し付けていることになっているわけです.これが,後で述べるような,ほとんど無制限の信用拡大につながっているというわけです.

ちなみに著者の住んでいるスペインでの法定準備率は2%,日本での法定準備率は4%です.これらの数字が別段の意味があるというわけではありません.どのみち,取り付け騒ぎが起これば,中央銀行が融資してくれるので,各銀行には限界まで準備率を下げて,ローンを貸し出すというインセンティブがあるのです.


では,この信用拡大のもつ経済的な効果はいかに??


オーストリア学派の理論展開に乞うご期待!





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