kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

日本人でなくなるというのは

遠い昔 アメリカの国内線で窓際に座った. 隣に座っていた 気のいい白人の老夫婦のうち,妻のほうがボクに話しかけてくれて,長い間いろいろな雑談をした.途中で彼女は「いつ アメリカ人として帰化するのか?」と聞いてきた.ボクは内心 驚いたが,「よくわからない」と答えた.


彼女の祖先はすべて,ヨーロッパからアメリカに夢を求めてやってきたのであり,移民がアメリカ人になるということは,ごく自然であったのだろう.反対にボクは,アメリカの教育,自然科学,社会科学には敬意を払っていたが,アメリカ人になりたいとは思ったことがなかったので,そうした問いに対して驚いたということなのだ.


中村修二さんは アメリカに帰化したが,それは日亜化学工業との訴訟も含めて,よほど日本が嫌いになったということなのだろう.アメリカに帰化するためには,アメリカ国旗である Stars and stripes に忠誠を誓う必要がある.Stars and stripes のために命をかけるという決心なのだ.もちろん,日本を捨てるという覚悟が必要だ.


国を愛するとは そもそも どういうことなのか? 友人や家族のためには死ねるという人は多いと思うが,それはあくまで親しい人たちのことであって,抽象的な「国家」ではないだろう.Stars and stripes は ボクにとっての忠誠の対象とはなりえなかったと思う.


もうはや 忘却のかなたにあることだが,南部陽一郎さんもアメリカに帰化していることは,重要なことなのだろうと思う.



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