1.例えばbitcoinがすべての国でのデファクト通貨になったとしよう。その時、国家の通貨発行権はどういった影響をうけるだろうか? (経済学junky はKiyotaki & Wright のモデルを参照のここと)。
ほとんどすべての巨大な国家は、納税に関しては法定通貨を要求するだろう。法定通貨で納税する義務が発生するのであれば、政府通貨と引き換えに財を売買することも当然に合理的であり続ける。とすれば、法定通貨の流通量は現在よりもはるかに少なくなるとは考えられるが、ゼロにはならない。
パラオからジャマイカほどまでの国は、法定通貨の発行をあきらめて、納税も含めてほとんどすべてをBTにするのが、通貨のかえって合理的だろう。硬貨の鋳造や紙幣の製造・印刷だって、ただではないのだから。
さて大国においても、流通量が減れば、基準となるM1, M2などが減るわけだから、政府(日銀)がわずかでも通貨発行を増やせば、より大きなインフレが発生することになる。なぜなら、通貨の流通量が増加する割合が、インフレ率を決めるからだ。
今、キプロスだけではなくて、南欧、アメリカ、日本の全てで、政府の支出は歳入を大幅に上回っている。結局、早晩どこかで通貨の増刷しか方法はない。その時、できるかぎり、通貨の所持量を減らそうとするのが合理的な人間行動だから、政府への納税以外のすべての取り引きをビットコインにした方が合理的だ。
というわけで、非常に近い将来には、各国の法定通貨は、納税以外の機能を持たなくなるのではないだろうか?? どう考えても、今の外国為替制度や法定通貨制度はバカらしいほどの銀行の利益を生み出しているだけで、人類全体にとっては全くもってデメリットしかない。
なんで、いちいち夕方や週末にATMに金を払って、紙を入手してまで取引をするのか? 通信料やスマホが十分に安ければ、BTで払うほうが合理的だ。
2. さて、定義によって(2.1 x 10^7) しかBTコインがないのに、それが将来的に全世界のGDP = net 取引量が約1京円(10^16)円をサポートするというのなら、信用創造がないからには、年間500回の回転があるとしても、1BT=10^7 yen、つまり1千万円になるはずだ。 あるいは、1 satoshi = 10 yen ということか。
こう考えると、今現在1BT=10万円ほどだから、あと100倍は伸びる余地があることになる。もちろん、これは単なる机上の空論であって、中国始め、各国政府の嫌がらせや禁止、その他があるのは間違いないからには、未来がどうなることかはボクにもまったくわからない。
なお、bitcoinの一番の面倒な点は、コンピュータが壊れてしまったら、現金入りのサイフを失ったのと同じで、基本的にサルベージできないことだ。結局、いろいろとバックアップを取る必要があって、いろいろと面倒臭いのだ。
こうした計算は無意味でもないと思っているが、そうした計算よりもBTのような新しいスキームが世界を変革するかもしれない、と考えるが楽しい。だって、通貨制度はボクが経済学を志した理由の一つだけれども、古の昔の金貨などからまったく基本が変わっていないのだから。
この情報革命の時代に、何か本当に社会が変化するところをぜひとも見てみたい、という興味があるのは、ボクだけじゃないだろうと思う。
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