kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

あるいは日本の農業は輸出産業になれるだろう。

知り合いの編集さんから、「日本農業の底力」という新書をもらったので、読んでみた。


http://www.amazon.co.jp/dp/4862488706/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1332337624&sr=8-1


この大泉さんという人は、農業を経営者に委ねて、復興、成長産業にすべきだという本をいくつも書いてきた、マットウ農業経済学者だ。


デンマーク、オランダのような農業経営を輸出産業として捉える農業大国もあれば、日本のように農家を保護して、農業を見捨てる内向きの委縮した国家もある。著者は、農家を保護するのではなく、オープンアグリ化することによって、生産や直売から、加工、流通、観光、などのミックスを試みることで、日本農業は復活し得るというシナリオを描く。


僕はこれは本当なのだろうと思うが、結局は、


1、農家保護はつまりは集票マシーンの保護であり、どの政党も切り捨てることができない(公共選択学派的な視点)。


2、農業は家族経営であるべきだという素朴な信仰、あるいは価値観が日本人の有権者にもあるし、政策を立案する官僚にもあること(農業幻想の共有)。


などから、実現は難しいように感じてしまう。とはいえ、著者は国家が音頭を取ってTPPに参加し、農業を強化すべきだという強いスタンスを取っており、その点はむしろ清々しい。僕のような、放任の利点を取る人間よりは、まだ常識的な日本人に理解可能で、実現することもあり得るといえるだろう(苦笑)。


おそらくは、農業がビジネスになれば、ユニクロのような、つまりネスレのような会社ができるかもしれないが、ほとんどの家族農業は廃業することになるだろう。僕はテレビを作ったことがないから、食べ物も同じように会社に任せてもいいと思っているが、そうした意見はマレにしか聞かない。


しかし仮に農家がほぼ全滅して、人口の1%が農業をして、あと1%は観光農業をする、というのでもいいじゃないか? 花をつくっているオランダや、乳製品しか作っていないデンマークの食料自給率は計算されていないが、ひじょうに低いことは間違いない。


またシンガポールや香港は1%未満の食料しか生産していない。なんで、日本人だけが農業にそんなに固執する必要があるのか? 相変わらず、僕にはまったくわからない。


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