- 作者: 川島博之
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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もう少し、この本について書いてみたい。
農業にかぎらず、産業の生産性を高めるには、同じ価値のものを少ない人間でつくる必要がある。この100年間で、コメもムギもコーンも戦後、工業製品の付加価値に追いつくために、生産規模が著しく拡大しているのだ。
カメラや自動車などの工業製品でさえも、ロボットが自動的につくり、驚くほどに従業員が少ない時代だ。だからこそ、僕の父親の時代には高嶺の花だった、クルマ、カメラ、時計 などのどれもが、今では驚くほどの安さで手に入る。
もし、日本の現在の地方人口を農業で支えようとすれば、驚くほどに価値の高い農産物ばかりを作り出し、それを輸出する必要がある。しかし、そんなことが可能なのか??
少なくとも、コメやムギという商品では、10倍の価格で売ることはできないだろうし、それを全量加工して10倍の価格にするのも現実的ではない。
つまり、日本人はもっと都市に集中して生活し、少数の人に農地を任せる、漁業を任せる必要があるが、これこそが政治的な理由から不可能となっているわけだ。
おそらく、コメを全量輸入して、(交配や遺伝子改変による育種を続け、)新種のトマトやレタス、キノコを工場で作り、あるいは食品を最終加工したレトルト食品を作ってアジア全域に輸出するというレベルの変化が必要だ。
そうした農業は、僕にさえも農業ではないように思われるが、そうしなければ単なるカロリー摂取を越えた価値を作り出せないということなのだろう。
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