kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

LJP: 「白い粉」の国家輸入

先日たまたま、国家が管理貿易をおこなう「白い粉」を輸入している会社の人、という方と飲み会でご一緒させてもらった。小生は当然にコカインやらモルヒネなんかを想像したが、そうではないという。


からかう友人から「大量に輸入されているにもかかわらず、国家貿易だ」という重大なヒントを得た後、しばらく考えて、「小麦」であることを理解した。


いやはや、確かにこの時代に小麦の管理貿易、いや国家貿易などというのはバカらしい。


農水省のサイトを調べてみると、輸入小麦は確かに2008年に529万トンもあり、2883億円だったという。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/h22kaisei/nousui/h22nousui05.pdf
別のサイトを見ると、確かにここ数年の輸入小麦の卸売価格がここ数年で1トン5−7万円くらいになっている。
http://www.cuoca.com/library/information/0911naibaku/index.html


で、今シカゴマーカンタイルで小麦の価格を調べてみたところ、1トン175ドルだと。


ということは、輸送費を入れても、おそらく、2万円で仕入れたものを6万で売っているわけだ。その差額が、小麦生産に補填され、さらに国内産の小麦に対しても、麦作経営安定資金という名目で、1トンあたり6000円ほど、総額約1000億円ほどが支払われている。


バカの上乗せなのは、マスコミなんかでは、「小麦の世界価格が上昇しているから、うどんが高くなってしまうのだ」という話が、マコトしやかにニュースで語られたりしていること。小麦の国際価格は、現状の2倍どころか、3倍になっても、国内価格に関係ないはずだ。調達価格が変化すると、売渡価格も変えるという、有害無益な制度が、(おそらくは輸入を管理している団体職員の福利厚生のために)あるからだ。こういった点は、実にテレビというメディアは国家の一部そのもので、北朝鮮よろしく、政府に不利になりそうなことはほとんど触れようとしない。


さて、一人当たりでは年に2000円の輸入価格の純損に、麦作経営安定資金1000円=3000円、というほどか。うちは4人家族だから、僕の所得にかかる負担は年に1万円ほどになるだろうか。


僕は一万円給料が恒久的に減ってもいいから、こういったバカらしい、誰も得をしない制度をやめてもらいたい。だが、件のビジネスパーソンは、「この制度がなくなったら、うちの会社なくなっちゃうでしょうね」といっていた。一つのバカらしい国家活動は、自然とそれなしでは成り立たない生活を産み出してしまう。その人の活動は、まったく非生産的でも、国家の活動の外延として存続し続けてしまうのだ。実に残念極まりない。