kurakenyaのつれづれ日記

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ブランド信仰

みなさん、更新が少なくてすいません。僕の海外滞在も最後になり、ついに帰国の日がやってまいりました。ということで、内外価格差の話題を一つ。


いつも思っていることで、大体の友人が共通して感じていることの一つは、日本の方が高級なブランド品の価格が高いことだ。高級ブランドという定義からして価格が高いのは当然なのだが、同じものでも日本のほうが他の先進諸国よりも高くプライシングされているのである。だから多くの日本人は海外に旅行すると、やたらと多くの買物をしたがるのだと思う。もちろん、消費税がつかないからということも理論的にはあり得るが、ヨーロッパからの旅行者がそんなに外国で商品を買いまくるという話は聞かない。


たまたまBMWの新しい5シリーズ(ミドルクラスのセダン)のニュースを読んでいたら、アメリカでの価格は日本のおよそ半分というものがあった。


http://response.jp/article/2010/03/26/138233.html 


なるほど、実感と一致している。 例えば、一番高い550i は日本では1040万円で、アメリカでは557万円というから、確かに半額に近い。こういったことはほとんどすべての高級ブランドに当てはまっていると指摘され続けているように思うが、一体、これはどう説明されるのか?


よく聞かれるのが、日本は人件費やディーラーの維持費、その他の諸費用が高いのでブランドも高くなってしまう、という(供給サイドからの)説明だ。がしかし、これはそれなりに説明力があるようだが、あまり説明になっていない。なぜ、ドンキに売っている物の値段は国際的にあまり変わならないのに、高級ブランドだけがそれほどの価格差があるのか、という点を説明していないからだ。


例えばBMWに限らず、多くのブランドには並行輸入サイトがあって、最安の国から多くのものが輸入されているが、正規代理店よりもその価格は相当に安い。供給サイドから見ると、ほとんど同じ供給曲線であるということだろう。


おそらく経済学的にもっとスタンダードな説明は、需要の価格弾力性が日本のほうが低い、というものだ。つまり、企業としては、低い価格でたくさん売るよりも、より高いプライシングをした方が、商品の売れる数は少なくても総利益が大きくなる、というものだと思う。


これは僕は正しいと思うが、満足ではない。なぜなら、なぜ日本人のブランド需要の価格弾力性が、諸外国よりも低いのかという問題を先送りしているからだ。そもそも、どうしてブランドが高い価格をつけてもそれなりに売れるのか、という問題がまったく答えられていない。


こういった観察に対しては、一人ひとりがいろいろと文化的、歴史的な説明をもっているところだと思う。この点、僕は日本人のブランド信仰が強いというのは、つまり個々人の独自の基準が弱いのだろうと感じている。商品を評価する主観的な基準がはっきりしなければしないほど、常識的な評判や、あるいは印象を高めるコマーシャルの影響を大きく受けてしまう。


つまり僕が感じるところでは、日本の強みでもあり、弱みでもある「勝手に自分の価値観をつくりだすのではなくて、他人からの評価を気にする」という行為が、ブランドを生み出しているのだろうというものだ。そういった親社会性と呼ぶべき文化はアジアには強いように感じるし、実際に中国人や韓国人も日本人と同じほどにブランド好きのように感じるのだが、みなさんどう感じているだろうか?