kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

The China Study

僕の読書の中で多いのは、
リバタリアンと同じほどに進化論ということはお分かりだと思います。
しかし、リバタリアニズムは異端の学説ですが、
進化論は、少なくともインテリの間では主流ではないかと思いますので、
この点が大きな違いでしょう。


さて、異端といえば、僕の信奉する異端学説の中では、
リバタリアニズムと並んで、ヴェジタリアニズム=「動物タンパク質悪玉説」があります。
そもそも僕がヴェジタリアニズムに興味を持ったのは、
「動物の権利」という、
どっちかというとバカバカしくてほとんどの人には興味のない方向からです。
しかし、よくよくいくつかの本を読んでみると、動物タンパクというのは、
動脈硬化、心臓病、その他の病気にとって、たいへんに悪いということが書いてありました。


その中でももっとも有名なものに
Colin Campbell コリン・キャンベルの『チャイナ・スタディ』というのがあります。
このチャイナ・スタディは、
コーネル大学オクスフォード大学、(とあと中国の研究所)の共同研究ですが、
中国でほとんどの地域を対象に行われた、史上最大の疫学的な、
食物と病気の関係についての研究です。
結論だけいってしまうと、動物タンパクはすべて健康に悪影響を持っており、
即座にやめるべきだと言うことになります。


僕の母がいっていたためか、僕が少年時より信じてきた「牛乳は体にいい」という神話も、
むしろカゼインタンパクはたいへんに体に悪いと言う「事実」によって置き換えられているのは、
何と言うか、小さな衝撃でさえあります。


キャンベル教授はもともと牧場に育ち、
キャリアの初期までは動物タンパク善玉説を固く信じていたと言います。
しかし、インドからの疫学的な報告、自身のラットを使った発ガン実験などによって、
それとは正反対の結論にいたり、現在に至ったというのです。


僕はリバタリアンなので、長生きすることそれ自体がいいとかいう気はないのですが、
健康に長生きしたいなら、動物タンパクをやめるべきだということになるでしょう。
僕が勝手に考えているところでは、動物タンパクのほうが体を急速に成長させる場合には有利で、
そのために人間には動物タンパクをおいしいと感じる味覚が進化したのでしょう。
少なくとも、近代以前の社会では大きな男性の体は、先頭を含めて社会内で有利だったはずだし、
それは多くの男性が老化する前に戦争などで死んだ社会では間違いないことです。


とはいえ、
仮に体が大きく成長することが男性においては社会的に有利に作用するという可能性を考えても、
長寿が普通になった現代社会には、
動物タンパクの摂取はおそらく人生の後半以降の副作用のほうが大きいといえるようです。
動物をまったく食べないというのは
僕にとってもライフスタイルの点から巨大な人生のチャレンジになってしまうのでできていないのですが、
読者の皆さんも、おそらくほとんどは僕の友人であるので、皆さんにもお伝えしようと思ったのです。
日本では確かに これはひじょうに難しいように思いますが、、、


たまたま僕は最近、時間を取って、これまで興味のなかった
アメリカの健康医学のベストセラーなどをいくつか気晴らしに読んでいるのですが、
Andrew Weil や、Dean Ornishといった著名、かつ人気のあるドクターたちは基本的に、
この動物タンパクの悪玉論という知見に納得しているようです。
どうりで、近くのスーパーにもエダマメやトーフが増殖しているわけです。


さて、僕が不思議に思うのは、
アメリカ人は日本よりもはるかに多くの肉や乳製品をとっている反面、
まったく動物由来の食物を食べないヴィーガンも2千万人もいるという事実です。
これはアメリカ文化が個人主義的で、一人一人の感覚が日本よりもずっとバラけている、
とようなとらえ方が自然だと思ってはいますが、それにしても不思議なことです。


で、もっと不思議なのは日本では、このチャイナ・スタディも翻訳されていないし、
知られてもいないという事実です。
これはおそらく日本人の死因はアメリカほどには、
アテローム動脈硬化などの疾患ではないからだろうと思います。
しかし、それにしても、僕がマヌケなだけだとは思えないほどに、
こういった情報が流通していないように思われるのですが、、、、


というわけで、また別の機会にも書いていくつもりです。