kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

ユリ・ニーズィー + ジョン・リスト



友人の勧めもあって,久しぶりに経済学の本を読んでみました.ユリ・ニーズィー,ジョン・リストともに,経済の実証研究では,たいへんに有名な研究者です.


行動経済学なんていう科目を何年も教えていると,いつも話はおなじになってしまいます.それで,あんまり行動経済学の本に,逆に興味がなくなってしまうというのが難点です.


まず この本には,「寄付」という活動についての,説明があったのが,面白いこところです.いわゆるWarm glow の理論なのですが,つまり 寄付する人というのは,寄付によって直接に誰かが助かるということも虫はしていないのですが,それよりもむしろ自分が正しい人間として気分良くなりたいのである,ということ.


また,例えば,「すでにもう資金の50%は集まっています」というと,より多くの資金が集まることからすると,追従心理のようなものがあることも理解できます.



こうした話をすると,昔 友人とかわした会話を思い出します.ある友人は「あの人は自分が気分良くなるために,ああいうことをしているんだから,別に感謝しなくてもいいんだよ」といいました.うーん,でもそれが「感謝しなくてもいい」ことの理由にはならないように思われました.


後日,僕は経済学を学び,効用関数内に他人の「状態変数」を入れるか,あるいは,他人の「効用関数」それ自体を入れるかの議論であることがよく理解されました.


こうしたショウモナイtechnicality はさておき,今 勝手にボクが思うところでは,自分が満足するためにチャリティをするのもありだと思います.たしかリバタリンのランズバーグは批判的に書いていたように思います.しかし,ビル・ゲイツの自尊心が高まることで実際に人が助かるなら,少なくとも,それは功利主義にも合致しているでしょう.


なんでかんでもハスにかまえる必要はなくて,その日の気分を大事にして生きるべきだという程度のことなのだと思います.


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また,ロットは投資ファンドの支援で10万ドルを得て,シカゴに幼稚園を作ったのは興味深い話でした.この規模の介入実験が,どの程度の効果を長期的に生み出すのか? 幼稚園に通った生徒たちは,今後の長期にわたって,忍耐,知能,社交性,犯罪,などなど,追跡調査することになっています.これはヘッド・スタートやヘックマンの研究よりも,さらに大規模で,周到に計画された幼児保育の可能性を探るものとして歴史に残りそうです.


そうした社会実験ができるのは,結局はプライベート・ファンドだからで,政府が行うなら,こうした偶然的な不平等を伴う「実験」は結局,できないということなのかと思います.



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