kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

先進国でも固定回線は要らなくなるかも?

この前LJPでも書いた「電波帯域の競売」の話は、僕的にはたいへんになじみぶかくて当然的なアイデアなのだが、まったく世の中の常識とあわないのは残念だ。政治用語でいうなら、慚愧に堪えない。

いつもながら、私有財産化というのは、つまりは共有地だったものを私人に独占使用させることだから、公共心にかけるというほどの倫理観から感情的な反感が生じるのだろう。

ところで、無線LANについて誤解している人が多いので、もう一度書きたいのだが、無線LANは出力が小さいから特定の場所では今のところ混戦していないだけで、出力を上げることも可能だし、そうすれば、干渉が生じて、効率が落ちてしまう。もちろん、外国の制度と通用すれば、規模のメリットによって、無線機器のコストが下がるから望ましいのだが、別に無線LANのように小さな出力にするべきか、あるいはWiMAXのように大出力で広域をカバーするかは、結局は、それぞれの効率性に鑑みて、市場で決めるほうが合理的だ。

http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/1009/30/news015_2.html

を読むと、あるいは有線LANよりも無線のほうが敷設費用が低いために、より早く高速化技術を採用できるの日が来るかも知れない。アフリカを始め、多くの途上国では有線よりも無線から通信が整備されているが、あるいは先進国でも長期的にはそういうことが生じる可能性もあるだろう。ちなみに先日、僕は知人の無線LAN設定に出かけて一日を費やしたが、おそらくUQ WiMAX ならそういった設定作業はさらに簡単になっているはずだ。技術は急速に変化するのだから、どの技術をどの程度採用すべきかを市場以外の誰が知り、決めることができるのか? 


そういえば最近、KDDIが(予想通り)ドコモに新しい移動体放送帯域をとられたが、これもどちらが優れているのかは、市場で決めるべきことで、人々が望む(と起業家が予想する)にしたがってやらせてみればいい。

同じように、僕は特に孫正義さんには好意も悪意もないが、彼のようなドコモの既得権益への揺さぶりのかけ方は、大分おかしなものだと感じている。すべてを入札にすれば、その資金調達力とビジネスモデルの展望に応じて、彼の批判しているようなドコモへの優遇もなくなるはずだ。しかし、彼はドコモへの優遇はおかしいと言うが、結局はソフトバンクに優遇しろと言っているに過ぎない。よく考える必要もないほど、奇妙な話だ。

キャプランの指摘のように、おそらくは人々は「私有=反公共=悪」という図式を信じていて、よって政治が電波のような重要な国有財産を私的に使わせるべきではないと感じるのだろう。しかし多数が支持しなければ退出するしかない市場に比べて、ある私人にタダで使わせる不透明な政治力の方がよっぽど不正義だし、非効率というものだろう。Or not?