kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

マンションのリスクと外部性

こんにちは。日本の区分所有権法では、タワーマンションの多くがスラム化 → 廃墟になるという話。いまのままじゃ 間違いなく そうなるだろう。 

 

president.jp

 

さて先日、REITの運営会社に勤める友人Aと、いつものように東京駅で飲んだ。以下はその時の会話の一部。

 

ボク「日本のREITって、せっかくファンドなんだから100年とかの 超長期の視点で東京の建物を運営すればいいんじゃない??」

 

A「ああ、理屈ではそうなんだろうけど、日本のビルはゼネコンが儲かるように作ってきたから、50年しか持たないようにできてるんだよ。配管とか いろんなパーツは入れ替えられないように設計されているから 50年くらい経つと、 それじゃ もう建て替えようかって話になるんだよ」

 

ボク「個人なら割引率が10%くらいに高いのは分かるけど。。。なんで何十年も先を見越すはずのファンドが そんなに短期的なの?? 東京のビルを1000億円分ぐらい運用するファンドがあれば 長期的な維持管理費を考えるほうが良さそうだけど。。。」

 

A「これまでの日本では、長期の視点なんて 誰も持っていなかってこと。これからは そういうファンドがあってもいいんだろうけど、、、日本じゃあ まだ聞いたことないな。これからも しばらくはないと思うよ。 みんな短期で売り買いして 儲けることしか考えてない。」  

 

うーん そうなのか-ー!??

 

Lowensteinなんかの一連の研究を見ると、人間の将来所得の割引率は 10%以上にも及んでいる。例えば、省エネのエアコンが2万円高いとして、年間の電気代が2000円で安ければ10年で元が取れることになるが、一般に消費者はあまりそうした大きな初期投資をしようとしない。

 

もちろん、エアコンは10年持たないかもしれないし、あるいは住み替えるかもしれないし、途中にいろいろなリスクがある。それでも まあ一般論としては 「個人はあまり長期的な視点を持つことはない」という命題は正しいように思われる。

 

ちなみに、ボク自身が かなり断熱性の低い家を建てて、もう20年も住んでいるという現実がある。一条工務店の説明が本当なら、一条工務店の家を建てれば、年間の光熱費はおそらく20万円以上も低かったはず。まあデザインとかいろいろあるにしても、今でも あまり多くの人がナダレを打って断熱性を高めるような支出をしているようにも見えない。

 

しかし、賃貸用のタワーマンションを維持管理するファンドなら もっと長期の視点が持てるように思われる。少なくとも 論理的には持つべきだろうし、そうしたREITを評価する証券市場があるはずだ。

 

実際には そんな「理論的に整合的な市場」は 少なくとも今の日本には存在していない。経済学者であれば、それは持ち家制度が賃貸制度よりも税制度で優遇されているからではないか といった理屈が思いつく。

 

そうすると巡り巡って 会社法が株式の価値を規定するのと同じように、やはり区分所有権法という民事法的な制度の枠組みが REIT証券市場での評価を裏付けているという事実に立ち戻る。

 

そうすると、やっぱり所有権法や 区分所有権法そのもののリノベーションが必要なのだろう。

 

 

_