kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

世界金融 本当の正体

世界金融本当の正体

世界金融本当の正体


こんにちは.


世に陰謀論の解説本はあまたありますが,この本は類書と違って,単に陰謀論を否定するのではなく,実在した陰謀論も含めて,陰謀というものを理知的に検討しようではないか,という稀有なスタンスの著作です.



かつての世界には,陰謀が存在していました.世界史の主要な事件を幾つかあげるだけでも,ユダヤ人差別のドレフュス事件サイクス・ピコ協定のように現代の中東情勢の基礎となってしまった密約,日本軍部の暴走のきっかけとなった柳条湖事件,あるいは幸徳秋水などが日本政府に謀殺された大逆事件,その他アメリカの原発開発のマンハッタン計画,などなど.実際にあまりに多くの陰謀があったために,そうした陰謀があるのは,20世紀の中盤までは当然だとされていたのです.


しかし戦後から現代にかけての陰謀論と言葉は,かなり侮蔑の意味合いを含むものになってしまっています.実際に,それ以前の社会に比べて陰謀が激減してきているのだから,当然といえば当然でしょう.「赤い楯」を書いた広瀬隆さんのように,世界の金融がロスチャイルド一族に仕切られていて,何でもかんでもユダヤ陰謀論とするのが現代の「陰謀論」の典型であり,陰謀論という言葉自体がすでにトンデモさんと同じような響きになっているのです.


本書には主題はいくつもありますが,当然にもっとも大きいのは,ロスチャイルド一族の金融支配はすでに19世紀に消滅したにもかかわらず,今も根強く主張され,どうやら広く信じられていることへの反証.


また,陰謀論的な視点で支持されていると思われる副島隆彦さんの言説が一貫していないだけでなく,基本的な世界の認識すらも間違いも多く含まれているという指摘.一番,面白いのが,「ブレトンウッズ体制,つまり金・ドル本位制が2010年には終わる」という予測. なんじゃ そりゃ〜〜 ニクソンショックでもう40年以上も前に金とドルの打感は終わっているよ!! 爆笑 


(僕個人の意見では,副島さんという人の思考には何の論理性・一貫性も,基本的な知識もないので当然なのでしょうが,,,)


それはさておき,また別の興味深い指摘には,ハーヴァードの法哲学者サンスティーンが「陰謀論は社会に有害だから,政府がそうした言説の流布をソフトに妨害するべきだ」と主張していることと,そうした国家活動への批判.本当に不勉強な僕は,サンスティーンがそんなに極端な国家主義的な言説を行っていることを知りませんでした.不思議なことです,サンスティーンのソフトな情報工作というのは,今まさに中国が行っている反共産党発言への人海戦術的な対策そのものなのです.国家が好きな人は,どこまでも,国家がすべてをコントロールするべきだと思っているのです.


陰謀論というわけではなくとも,かつてトーマス・ジェファーソンは「政府への猜疑」こそが,今後のアメリカに必要だと再三再四書いています.そういえば,ロスバードはジェファーソンの反政府的(当時はイギリス政府に対する)態度こそが,自分の政府への態度と同じである旨を,常に強調しています.結局 今のアメリカは次第に普通の国になって,自然権思想も自由も普通のヨーロッパとおなじになってしまいましたが,それがロスバードには不愉快なのです.


さてこれは本書の主張ではないのですが,非核三原則のようなウソがウソであることが,50年で公開されるアメリカの公文書からは判明するが,この国に住んでいるだけでは永遠にわからないというのも,民主主義国家を標榜するにはあまりに情けないことです.政府の陰謀があるかないか,あったのかなかったのかをはっきりさせるためには,日本でも関係者がすべていなくなっているだろう50,あるいは100年での,公文書の完全・網羅的な公開が望まれます.(なんで右翼の愛国者はそういうのを否定するんでしょうね? 国家の美しい部分だけを見たいということなのか?? まったくのナゾです.)



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世界金融本当の正体

世界金融本当の正体


こんにちは.


世に陰謀論の解説本はあまたありますが,この本は類書と違って,単に陰謀論を否定するのではなく,実在した陰謀論も含めて,陰謀というものを理知的に検討しようではないか,という稀有なスタンスの著作です.



かつての世界には,陰謀が存在していました.世界史の主要な事件を幾つかあげるだけでも,ユダヤ人差別のドレフュス事件サイクス・ピコ協定のように現代の中東情勢の基礎となってしまった密約,日本軍部の暴走のきっかけとなった柳条湖事件,あるいは幸徳秋水などが日本政府に謀殺された大逆事件,その他アメリカの原発開発のマンハッタン計画,などなど.実際にあまりに多くの陰謀があったために,そうした陰謀があるのは,20世紀の中盤までは当然だとされていたのです.


しかし戦後から現代にかけての陰謀論と言葉は,かなり侮蔑の意味合いを含むものになってしまっています.実際に,それ以前の社会に比べて陰謀が激減してきているのだから,当然といえば当然でしょう.「赤い楯」を書いた広瀬隆さんのように,世界の金融がロスチャイルド一族に仕切られていて,何でもかんでもユダヤ陰謀論とするのが現代の「陰謀論」の典型であり,陰謀論という言葉自体がすでにトンデモさんと同じような響きになっているのです.


本書には主題はいくつもありますが,当然にもっとも大きいのは,ロスチャイルド一族の金融支配はすでに19世紀に消滅したにもかかわらず,今も根強く主張され,どうやら広く信じられていることへの反証.


また,陰謀論的な視点で支持されていると思われる副島隆彦さんの言説が一貫していないだけでなく,基本的な世界の認識すらも間違いも多く含まれているという指摘.一番,面白いのが,「ブレトンウッズ体制,つまり金・ドル本位制が2010年には終わる」という予測. なんじゃ そりゃ〜〜 ニクソンショックでもう40年以上も前に金とドルの打感は終わっているよ!! 爆笑 


(僕個人の意見では,副島さんという人の思考には何の論理性・一貫性も,基本的な知識もないので当然なのでしょうが,,,)


それはさておき,また別の興味深い指摘には,ハーヴァードの法哲学者サンスティーンが「陰謀論は社会に有害だから,政府がそうした言説の流布をソフトに妨害するべきだ」と主張していることと,そうした国家活動への批判.本当に不勉強な僕は,サンスティーンがそんなに極端な国家主義的な言説を行っていることを知りませんでした.不思議なことです,サンスティーンのソフトな情報工作というのは,今まさに中国が行っている反共産党発言への人海戦術的な対策そのものなのです.国家が好きな人は,どこまでも,国家がすべてをコントロールするべきだと思っているのです.


陰謀論というわけではなくとも,かつてトーマス・ジェファーソンは「政府への猜疑」こそが,今後のアメリカに必要だと再三再四書いています.そういえば,ロスバードはジェファーソンの反政府的(当時はイギリス政府に対する)態度こそが,自分の政府への態度と同じである旨を,常に強調しています.結局 今のアメリカは次第に普通の国になって,自然権思想も自由も普通のヨーロッパとおなじになってしまいましたが,それがロスバードには不愉快なのです.


さてこれは本書の主張ではないのですが,非核三原則のようなウソがウソであることが,50年で公開されるアメリカの公文書からは判明するが,この国に住んでいるだけでは永遠にわからないというのも,民主主義国家を標榜するにはあまりに情けないことです.政府の陰謀があるかないか,あったのかなかったのかをはっきりさせるためには,日本でも関係者がすべていなくなっているだろう50,あるいは100年での,公文書の完全・網羅的な公開が望まれます.(なんで右翼の愛国者はそういうのを否定するんでしょうね? 国家の美しい部分だけを見たいということなのか?? まったくのナゾです.)



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