こんにちは。
アルゼンチン大統領のハビエル・ミレイについての本を訳している。
が、これに大変に苦労している。
まず第一に原著がスペイン語であり、それがアルゼンチンの過去の政治状況にあまりに深いりしすぎていること。これは自分的には、せいぜいペロンの独裁や、何度も起こった通貨危機しか知らなかったため、とてもキツイところだ。
最近(21世紀に入ってからの)大統領だったキルチネル始め、その妻、その他すべてのアルゼンチン戦後の人物たちが総登場するということで、登場人物があまりに多くて混乱する。そもそもこの本は、アルゼンチン人に向けて書かれているからだ。
日本人以外に中曽根、小泉はあるいは覚えていても、宇野や細川、野田などの首相の名前やその業績、政治理念を知っている人がいるはずがない。
2番目は、僕が英語版を底本にしているのだが、その英語版はスペイン語版のDeepLによる翻訳であること。この場合、文章が丸ごと抜けていたり、原文にはない繰り返し、さらには意味的な完全な誤りがあって、それを原語のスペイン語の文章と突き合わせるのが、とんでもなく面倒なのだ。当然に、自分自身もおそらくは見落としがあるだろうと思う。
(余談;よく「AIで翻訳はいらなくなる」とか、あるいは同じコンテキストで「AIでライターはいらなくなる」とか書いている人がいる。そういう人は完全にバカなのか、あるいは本当にそういったとんでもなく低いレベルの人なのかどちらかだ。実際にリアルに使ってみれば、どれだけAIのレベルが低いかがわかる。翻訳ならかろうじて意味がとれる(かも?)だけ、記事ならすでにウェブにありふれた凡庸な意見のサルマネならできるだけ、という程度だ。
もちろん、多くの事務職はなくなるのだろうが、つまりそういった事務職というのは、その程度だったということなのだ。低いレベルのホワイトカラーはAIに代替されるが、本当に素晴らしいもの、意味のあるもの、クリエイティブとでも呼ぶべきものはAIには作り出せない。(これはAIが単なる統計モデルであることを考えれば自明だ。)
ということで、『ミレイ:誰も予想しなかった革命』の翻訳はけっこう難航している。というか、自分史上、まったく異質の困難さに直面している。
とはいえ、なんとか終わりには近づいている。出版のあかつきには皆さん、よろしく。
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