kurakenyaのつれづれ日記

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欧米に寝たきり老人はいない

こんにちは。

 

宮本顕二さんと宮本礼子夫妻は、北海道で「延命医療をやめよう」運動をやっておられます。それで、2015年に出た本を読みました。(というか、もう読売新聞のYomiDr.にほとんどが乗っていたので、今回はただ速読しただけ。)

 

 

あまり新しいことがなかったので、皆さんと共有するために、いくつかの文章を以下に転記します。日本でも患者を苦しめず、かつ若者の資源を奪わない医療になる必要がある。宮本夫妻がこういう活動をし始めてから、もう7年以上がたっているのに、まだ国民レベルのコンセンサスができないのはなぜ?? (陰謀論によれば、日本医師会のせいになるんだろうが、、、)

 

ボクはそういう陰謀論よりも、日本人の死生観の未熟さが原因だと思う。スウェーデン始め、欧米の個人の終末期への倫理観を日本人皆が理解すべきだと思う。

 

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『欧米に寝たきり老人はいない』

 

ハリソン内科学(邦訳第3版、原著第17版)

第1章「緩和ケアと終末期ケア」

 

「・経口、輸液、景観などで栄養を入れても、症状を軽減したり、延命したりすることはできない

・終末期の脱水に対して、家族は「患者は口渇で苦しみ、脱水で死ぬだろう」と不安に感じるが、「末期の脱水では症状が出る前に患者は意識を失うため、苦痛はない」と家族や介護者に教えて安心させる

・経静脈栄養は、肺水腫や末梢の浮腫を増悪させ、死の経過を長引かせることがある

・嚥下困難状態(飲み込みが悪くなった状態)では、経口摂取を強いてはならない

・無呼吸や呼吸困難に対して、意識のない患者は窒息や空気飢餓感で苦しむことはない、と家族や介護者に教えて安心させる」

 

また別の記述では、

「すべての治療に(医学的介入)は不利益(負担)と利益の療法を併せ持っており、通常の治療の特別な治療(人工呼吸器、血液透析、人工栄養)を区別して考えることは倫理的でない。個々の患者にとって、負担が利益を上回る時はどのような介入も行うべきでない。」

 

宮本夫妻の本文

「胃ろうも点滴もしないで、眠るように安らかに亡くなる、という事実を裏づける研究があります。動物を脱水や飢餓状態にすると脳内麻薬であるβ―エンドルフィンやケトン体が増えます。これらには鎮痛・鎮静作用があります。自然な看取りで亡くなった方にも同じことが起こっているはずです。」p.113

 

「欧米では倫理的な問題から、終末期の高齢者に点滴は行いません。自然な亡くなり方ではないからだと思います。40年前の日本も、高齢者は点滴を受けずに、自宅で穏やかになくなっていました。」p.11

 

「2007年に、ストックホルム近郊の病院や老人介護施設を見学させていただきました。予想どおり、寝たきり老人は一人もいませんでした。胃ろうなどの経管栄養の患者もいませんでした。

その理由は、高齢者が終末期を迎えると食べられなくなるのは当たり前で、経管栄養や点滴などの人工栄養で延命を図ることは非倫理的であると、国民みんなが認識しているからでした。逆に、そんなことをするのは老人虐待という考え方さえあるそうです。

 日本のように、高齢で食べられなくなったからといって経管栄養や点滴はしません。肺炎を起こしても抗生剤の注射もしません。内服投与のみです。したがって両手を拘束する必要もありません。つまり、多くの患者さんは、寝たきりになる前に亡くなっていました。寝たきり老人がいないのは当然でした。」p.124

 

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