kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

機械式ムーブメント

こんにちは。

 

なぜか機械時計が好きで、数十万円以上を支払うことに納得する人がいるのか? 

 

昔から考えていることなのですが、この理由はどうにもはっきりしません。機械時計の魅力を説明している人は多いのですが、あんまり説得的ではないように思われます。夏休みでヒマなので、ここでちょっと考えてみましょう。

 

  • 精度ではないことは明白。防水その他の機能でもありません。するとデザインの美しさか? これも別に外見については、今となってはどんな加工もクオーツでも可能です。
  • 時計好きがムーブメントの話を必ずするからには、ゼンマイという「物理物」のエネルギーが駆動力であるということが魅力なのに違いありません。ガンギ車、テンプ、アンクルなんかが集合した小さな精密なメカの持つ雰囲気がたまらないわけです。
  • でも、クオーツだって「物理物である水晶発振器」に電気を流していることは同じです。しかし、おそらく「電気」を使うというのがダメなのだろうと思います。電気はどこか0,1、デジタル的な感じがするのです。クオーツの精度では、トゥールビヨンのようなメカニカルな補正はいらなくなります。(実際には、高精度クオーツもいろんな補正をしているますが。)
  • 同じように、半導体を使えばプログラマブルにもなるので、Lange & Sohneのパーペチュアル・カレンダーような精密機械の必要がなくなるのもかえって面白くありません。
  • 同じことは、一定の時刻を音で教えてくれるミニッツ・リピーターのような複雑機構にも言えます。デジタルのアラームはプログラムなので、面白くない。

 

ということで、電気を使わずに物理的な機械式の精密メカが動いているという感覚に惹かれるのでしょう。

 

ところで、セイコーの高級ムーブメントにスプリング・ドライブというのがあります。これはゼンマイの力での動きをクオーツで補正することで、日差1秒という精度を実現したものです。でもなんで?? それなら全部クオーツにすればいいんじゃないの?? 

 

www.grand-seiko.com

 

海外の時計サイトでも、「スプリング・ドライブは傑作!」みたいな取り扱いを受けています。おそらくこれは、コンピュータAIの力を借りて、人間がパワーアップするという感じで受け入れられているようです。クオーツは完全なロボットという感じなのでしょう。

 

とツラツラと考えてみると、やはり世界の時計産業は宝飾産業になっていると位置づけられます。今後のwearable deviceとしての多様な発展はやっぱりapple watchがリードするのでしょう。来週のApple eventに期待することにしましょうか。

 

 

追伸 さらに考えてみると、精密メカニズムが、なぜ電子プログラムよりも「好ましい」のかについては依然としてナゾです。電子回路が非人間的だと言ったって、実は大脳のニューロンは0,1のデジタルで情報を伝えてるし、各種の単純な知識なんかも物理物というよりは神経回路による「プログラム」と考えたほうが、現実と整合的です。

 

まあ こういった「感覚」というのは美と同じで、合理性ではうまく説明できないものなのかもしれません。