kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

月10万 x 10% x 100年 = 3000億円

こんにちは。

 

資本主義の問題点として 結果の不平等がうまれるというものが挙げられます。そういう人の主張は 人間の各種の特性が「おおよそ同じ」という感覚に基づいています。

 

 

10万年の世界経済史 上

10万年の世界経済史 上

 

 

 クラークは、「イギリスでは400年以上も安定した社会が続いて、時間選好の低い個人がより多くの子供を残した。その結果、集団の時間選好が低い方へと変化(進化)して、産業革命を支える資本の蓄積が可能となった」というようなことを書いています。

 

これには「そんなに高速にヒト集団の進化が起こるのか?」という疑問もあります。しかしそうした個別的な話の正誤の云々よりも むしろ 「遺伝的な変化が、社会変化の基礎付である」という命題を明確に提示した歴史書である ということのほうが圧倒的に重要です。

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さて こうした歴史書からわかることは、イギリスの産業革命以前 ほとんどすべての社会では利子率は10%をはるかに上回っていたこと。これはヴェニスの商人を読んでも明らかですし、今でも闇金では常識でしょう。

 

 

(ところで経済学のマクロモデル、representative agent =代表的個人モデルでは、個人の未来消費の割引率は同じである、ということになっています。これはそう考えないと、金持ちと貧乏人が自然発生して、モデルが発散して意味がなくなってしまうという(単純にテクニカルな)理由によります。)

 

 

しかし現実には 人間の個人的な時間選好は大きく異なっています。ボクが成人してからすでに30年以上が経ちましたが、例えばこれを40年として老後を考えてみましょう。今 SMBC日興証券のシミュレーターで計算してみると、10万円ずつを10%で40年間積み立てると、6300万円になります。この額は多いものではありませんが、まあ老後には十分ではないでしょうか。

 

https://navi.smbcnikko.co.jp/webasp/smbcnikko/reserve/sim2.aspx

 

おそらく信販会社からローンを借りたりしながら、それを返しながら生きる人と、そういう行為をせずに、指数ETFなんかに貯蓄し続ける人とでは、人生の最終段階で大きな違いが生じるはずです。これは結果の平等を目指す人たちには、一体全体 どう映っているのか??

 

 

さらにシミュレーターに聞いてみました。たったの月10万円の積立が 2-3代 つまり100年も続いたとしましょう。それは2600億円にもなります。まちがいなく大資産家でしょう。

 

 

歴史を勉強すると、「中国の各王朝は200年ほど続くと、社会の不平等がXXX教の乱を生み出した」なんて書いてありますが、それも当然というものです。おそらく全世界で同じことが繰り返されてきたはずです。

 

 

高校時代、あるいは大学時代の若かったときには こうしたことは想像もしていませんでした。大人になってわかったのは、人間の行動は 一人ひとりの見かけなんかよりもずっと違っていて それは累積するということ。おそらくこれは、読者の皆さんの中では ボクと同じ世代になった人だけが共感できる事実だと思います。

 

 

貧困には ランダム・ウォーク的な 多様な人生の偶然も大きく起因していることも疑いません。しかし同時に ゲーセンで遊んだり、パチンコをしたり、風俗に行ったりしたことのない人がいるはずもありません。不平等そのものは望ましくなくても 娯楽活動を始めとした人生の意義を高めるような 何かもっと重要な活動の結果として生じる不平等は 結局やむを得ないのでしょう。

 

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誰でもムダなものを買ったり、する必要もない旅行や娯楽を楽しんだりして、生きてきたはず。最後に金が尽きたら人の金で生きようとするほうが よっぽど奇妙です。