性欲の科学 なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか
- 作者: オギ・オーガス,サイ・ガダム,坂東智子
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2012/02/10
- メディア: 単行本
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友人の勧めで「性欲の科学」を読んでみた。これは科学というよりは、原題の Billions of weired thoughts というにぴったりで、いろいろな性的な妄想がどれほど多様であるかを描いている。著者らはインターネットのポルノサイトやエロ小説サイトから、男女のストレートやゲイ、レズビアンの好みに至るまで仔細に調べたのだ。
基本的な内容は、進化論や神経科学も援用してあって、正しい科学的な視点だといえる。本書の眼目はしかし、そこではなく、現状のそうした知識からはとても説明できないほどに、各種の多種多様な性的な夢想がネット空間では繰り広げられているという報告だろう。
まず、男の欲望が女性の肉体に集中していて、幻想もストーリーがなく、単なる性行為だということ、女性の欲望がストーリー性を持って、最後に自分が内面を含めて愛されること、などはよく知られた断絶で、parental investment などの理論からよく説明されてきた。
反面、たとえば、なぜ、ゲイはストレートの男女の行為のポルノを、ゲイの行為のポルノよりも好むのか? 嗜虐性、被虐性などが性欲とどうして関係するのかといったことには、そうしたなるほど的な説明はない。
そして、この本を読んで感じるのは、むしろ人々の性欲、夢想の圧倒的な多様性。ほとんど考えられるすべてのジャンルのエロ小説、ポルノが爆発的に発展していること。エロ投稿サイトで有名なredtubeなんかは、まったく序の口だということがよくわかった。
でも、僕の感想は、僕の貧弱な食欲と同じで、それはそういう人もいるんだろうけど、自分にはあまり関係ないなーという感じ。つまりは、フォアグラ、トリュフ、ブルーチーズなど、ツウはえてして、ちょっとオカシナ倒錯的な好みを持つものなんだな、という程度か。
あるいは強すぎる性的な神経回路の発火は、他の近接した神経系、=暴力、抑圧、服従などの発火を誘発するという程度なんじゃないのだろうか??