そういえば Matt Ridley の「The rational optimist」を先週読んだ。
内容としては、
1、現世人類は交換・商業活動によって生産特化をし、それによって豊かさを実現してきた。どうやらネアンデルタール人は商業、物々交換を行わなかったようだし、それが致命的だったのかもしれない。
2、産業革命は科学とは独立に発生したものだが、人力から石炭、さらに石油、原子力とエネルギー密度を高めて、前進し続けている。その経済活動の成果を奪うのは政府で、中国その他の国では、発明は禁止されていた。政府が経済を窒息させてきたのは、現在のアフリカの腐敗した政府でも同じで、人類はこの政府というマクロ・パラサイトをできるだけ小さく維持する必要がある。
3、過去200年間、常にこの世の終わりを語る悲観主義者が圧倒的に人気を持ってきたが、彼らはすべて人類の新たな発明が生じないという致命的な前提にたって、議論をしてきた。
4、現代の温暖化は程度もまったく深刻ではないにもかかわらず、大規模な対策が大きな負担を伴って実施されようとしているが、これは過去の石炭保全運動と同じで、有害無益だ。
5、再生可能エネルギーはすべてあまりに大きな面積や自然破壊を伴ってしまう。原子力や化石燃料は、ほとんど取るに足らない面積で大きな出力を実現するが、これが太陽光発電や風力発電であれば、大きな面積を必要とし、かえって鳥や草などの生態系が破壊されてしまう。実際、東南アジアの熱帯雨林はパーム油の生産のため、アマゾンはシュガーケーンのエタノールをつくるために、切り開かれて生態系が破壊されてしまっている。
とまあ、この程度になるのかと思う。全体にまったくもっともで、僕は彼の意見にほとんど全面的に同意している。
僕は「赤の女王」以来、リドリーのファンで、その自然科学的な知識を社会に応用するという発想は、彼にしかできない有益で豊かなニッチェを作っていると感じている。僕が英語圏に生まれ育ったら、彼のようにジャーナリストになれたら良かったかも。