nature, neruroscienceなどに載っている、Shreighoferと
ATR研究所の銅谷、田中などによる共同論文では、
セロトニン動作系の神経が時間割引を決めているという。
セロトニン濃度が高いと、より長期の報酬を評価するようになるというのだ。
これは、確かに哺乳類の集団の上位個体のセロトニン濃度が高く、
順法性もあがる鷹揚になる、
つまり刹那的な窃盗などの犯罪をしない、という事実とは整合的だ。
問題は、5HHTのショート型に見られるように
東洋人は白人や黒人よりもセロトニンレベルが低く、不安が大きい、
にもかかわらず、おそらくはより長期の報酬を求め、貯蓄率なども高いということだ。
これは、上述ATRの研究とは矛盾してしまう。
(少なくともそう感じられる。)
これらの事実を折衷するいいアイデアを探しているのだが、
あるいは濃度ではなく、レセプターの問題かもしれないし、
もっと単純に、相当程度に異なった遺伝子プールにおいては、
まったく別の重要なファクター(遺伝要因)があるだけかもしれない。
この数年は、たまたま友人とneuroeconomicsという感じのことをやっているが、
いろいろと即座に答えられないような難しい問題はあるものだ。