kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

大学教育の効果??

Mon Pelerin Society meeting at tokyo 2008 の最後に
Gary Beckerによる講演があった。


内容は興味深く、1、高卒以下、2、高卒、3、大卒、4、大学院卒
の四段階に分けると、どの年齢においても死亡率はこの順で下がっている。
また、少なくともアメリカでは、
80年代以降の所得格差もこの順で急激に開いているというものだった。


また、日本や韓国では大学に約50%がいくので、
80年代以降の大卒賃金プレミアムがやや下がり気味なのに対して、
35%程度のアメリカでは開き続けているという。


フロアからのdiscussionでは、教育ではなくて、資質ではないかという質問も出た。
ベッカーは答えて曰く、この研究が教育程度の異なる一卵性双子にもあてはまることから、
教育の効果は、単なるシグナリングではないという。


Beckerが指摘するところでは、教育の内容は意味がないかもしれない、
例えば、英文学、政治学、その他多くの人文科学などなど、
しかし、情報を得るという訓練は無駄ではないのだ、という。
実はこれは、かつてアメリカにいたときも読んだことのある論文の
拡張バージョンであった。


僕はこの意見に対して、どうしても小さな疑問をぬぐえないが、
少なくとも、双生児研究でも同じ効果が出ているのであれば、
データからはそう言えることは間違いないだろう。


確かに日本の大学はすでに飽和して、教育効果をなくしていることは明白だが、
同じ程度に思われるアメリカでも、本当に大学教育の効果ってあるのだろうか???