kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

Cass Sunstein

昨日、友人かつ同僚がわざわざ2つの論文ファイルを送ってくれた。
行動経済学者のRichard Thalerと政治哲学・法律学者のCass Sunsteinという
アメリカの左派の2人のスーパースターの共著である。
二つの論文はほとんど同内容で、
American Economic ReviewとUniv. of Chicago Law Reviewの
両方に2003年に載った有名なものだ。
論文の噂は聞いたことがあったのだが、この機会に読めたのは本当にありがたい。


内容は、限定的なパターナリズムを肯定しようとする試みで、
いまどきの論文らしく、
人間の合理的な行動への疑問を主題にする
行動経済学的な視点にback upされたものだ。


おもしろいのは、両者はシカゴ大学にいて、その逆に
経済学ではシカゴ学派がガチガチの合理主義で知られていることである。
これはつまり、シカゴ大学の多様性、あるいはアカデミックな多様性、
ふところの深さだというべきなのだろう。


小生はRazやSunstein, Posnerというような法学者、政治哲学者も
割と面白い議論をすると思っているのだが、
(むろん、その多くにあまり賛同はしないが)
それはやはり彼らがいろいろと意味のある、
つまり考える価値のある命題について語っていると感じるからだ。
加えて、John Rawlsから始まって、彼らの議論は経済学や心理学の知見を
踏まえているし、共著者も多くが他分野の研究者である。


対して日本では、民訴・法社会学の太田勝造さんをのぞいて
ほとんどまったく他分野の論文は引用されていないのが残念だ。