kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

行動のESSと現代社会のEOS

ランズバーグのmore sex is safer sexを読んだ。


この人は無政府リバタリアンであり、
かつ物理学の著作もあるほどの論理明晰でありながら、
しかし、話題はポップというライターである。


表題の章を要約すると、
性的にアクティブじゃない人がもう少し性的に積極的になれば、
つまりもう少し余計にセックスをすれば、
性的に奔放な人間はそれほど相手を見つけられなくなって、
エイズの感染は全体として小さくなるというものだ。
ハーバードのKremerの研究をベースにすると、
一年に2,25人以下のパートナーを持つ人は
より多くのセックスをすることによって、
エイズの広がりははるかにおさえられるという。


これは間違いなく論理としては正しいだろう。
当然に、個人批判じみたくだらない批判への再反論もしている。


しかし、僕が思うのは、性的に消極的である男は、
それに応じたシグナルを発して、それによって、
自分は感染症はない、
あるいは貞節である、
というシグナルを放つ進化的安定戦略ESSなのである。


それが、現代社会には最適でないにしても、
これが進化したのは、
過去500万年にも及ぶ人間の進化過程であり、
それが、エイズウィルスのみの感染が問題であり、
避妊されたセックスが可能になっている、
という現代的な状態においてではない。


よって、現代社会にもっとも適した行動である
経済的最適戦略EOSとは違うはずだろう。
それを補助金や税金をつけて変化されることをランズバーグは思考しているが、
論理には納得できても、倫理は我々の過去の戦略の一部なので、
反対を受けるというわけだ。


著作権でさえもそうであり、いわんや性行動となると、
どうしても倫理観が先に立って、
なかなか彼の論理を評価する人はいないのではないだろうか?
もちろん、ランズバーグは「挑発的な」思考が好きであると公言しており、
それには合致しているのだが、、、、