kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

大国意識とケインズ教

こんにちは。

 

先日 減税会の会合で台湾在住の方と知り合いになった。台湾のほうが今では生活水準が高い、また台湾には、日本に多く見られる有害な規制がないので、起業しやすく、多くの中小企業が栄えているという話だった。中国人気質として、大企業に勤めることよりも起業することを好むというのはよく知られているので、なるほどという感じだ。

 

それにしても、ボクが感じるのは、日本の奇妙な「大国意識」がますます日本経済を衰退させているということだ。もっと説明しよう。

 

台湾の人口は3000万にも満たないし、国土も九州程度の島である。おまけに中国という大国にいつ武力侵攻・占領されるかわからない。そうすると、もちろん自分たちの国が「大国」だという意識は生まれない。

 

ひるがえって、日本には奇妙な「大国意識」があって、一人あたりGDPが先進国最低になり、もはや中進国というレベルになっても、まだ「GDPドイツに抜かれて第4位」みたいな寝言を言い続けている人が多い。

 

この問題は、ケインズ政策という経済学の広がりも大きな影響を与えている。

 

ケインズ内需拡大政策というのは、外国貿易がそれほど大きな比重を占めない大国を前提にしている。政府が支出を増加させても、その大部分が外国製品の購入に当てられる小国では、経済政策の意味がない。同じように、多くの融資が外国資本からのものなら、国内の金融政策には大きな意味はない。極端に言えば、ルクセンブルクシンガポールのような小国では、内需政策とか、そういったケインズの神話は存在することが「不可能」なのだ。

 

 

これは重要なことだ。だって政府や政治家・官僚には、完全にムダな政府支出をする「言い訳」がないからだ。日本にはそれがある。だからバブル崩壊から自民党は一貫して「景気対策」と称した無駄遣いを継続するのである。

 

経済理論的には、大国と小国にはそれぞれ利点・欠点があるので、よく分析しないとどちらが望ましいのかはわからない。しかし、ケインズ教が広がれば広がるほど、政府の無駄遣いの言い訳のない小国は(国民生活には)有利になる。

 

もう日本は「大国」ではない。しかし、日本人の多く、いやほとんどだろう、は未だに日本は早くに西洋化を進めたので、先進の経済大国だと思っている。これこそが、我々がますます停滞する心理的なガンなのだろう。

 

 

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