kurakenyaのつれづれ日記

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”容疑者”の長期勾留

こんにちは。

 

カルロス・ゴーンが逃亡したというのは、まったくもって驚きのニュースだ。さて、彼が日本から脱出したことへの評価はいろいろあるようだが、どうやら普通の日本人は

 

「これはトンデもないことだ。犯罪者が逃亡したのだから、責任者を追求するだけではなくて、これまで以上に容疑者の拘束を厳重にすべきだ」

 

というような感想を持っているようだ。

 

おそらく多くのヨーロッパ人のジャーナリスト(朝日新聞系も含めて)はそうは考えていなくて、むしろ日本の司法制度自体では、あまりに人権無視が甚だしいので、彼がレバノンに逃げたのはやむを得ないだろうというような受け止め方だ。彼一人ではパスポートなしで逃げられないのだから、少なくともかなりの人が同情して協力したことは間違いない。

 

 

どうなんだろう、とにかくも有価証券法に違反している、あるいは特別背任というような詐欺行為で、何ヶ月も何か月も警察署で勾留できるというのは、あまりに日本国憲法、あるいは法の支配の精神に違反しているのは自明。多分、日本人のほとんどは外国で警察に捕まるということがどのくらい怖いことなのか想像できないのだろう。

 

toyokeizai.net

 

そういえば1997年の夏に中国に1ヶ月半ほど滞在したときのこと、最後に北京の空港で、日本人の友人たちと飛行機を待っていた。その時、友人の一人が、土産に買った中国製の刀剣を僕にほんの一時的に預けて、手洗いに行った。その数分の間に、空港の管理員、というかボクには警察だと思われたが、

 

「おまえの持っているものは何だ?」と、やたらと居丈高に尋問してきた。

 

中国語が話せないボクは、ヤバいと思ったので、これは友人の日本土産だ、と「英語で」声高に主張した。英語がわからないとおぼしきその人物と、だんだんと言い合いになってきて、ボクは両手を挙げて、周りのヨーロッパ人に聞こえるように、ますます大きな声で話を続けた。

 

それで空港事務所に(危険物の所持者として)連行されそうになったところで、その友人がなんとかちょうど帰ってきて、(女性であったこともあってだろう)中国語で説明してくれて、事なきを得た。

 

ひじょうに嫌な思い出だが、まあ中国だから仕方がない。それを最後に、以後ボクは中国に渡ったことがないが、これからも二度と行かないだろう。

 

 

法学部のジョークではよく言われているが、一般的な認識の中で、日本の逮捕というのは、もう有罪判決と同じで、すでに懲罰行為の始まりを意味している。検察が有罪と言うなら、もう有罪はほとんど間違いない。遠山の金さんも検事と裁判官を兼ねているしね。

 

特別背任なんかの曖昧な構成要件で起訴されたら、まず有罪は間違いないだろうし、少なくともカルロス・ゴーンの心中では公正な裁判がなされる見込みはなかった。確かに逃亡もやむを得ないように感じる。

 

彼のことはさておき、日本人であれ、外国人であれ、「容疑」だけで身体拘束を何か月もできるというのは奇妙だ。それはもう実刑の執行と同じだ。GPSをつけるでも何でも良いが、勾留はやめるべきだと思うのだが、、、

 

まあ そうはならないんだろうな