kurakenyaのつれづれ日記

ヘタレ リバタリアン 進化心理学 経済学

土地の二重譲渡は横領・背任だが、、、

こんにちは。

 

法制度の違いというのは、刑罰、訴訟手続、婚姻、相続、契約、不法行為など、すべての領域に及ぶのは当然です。

 

さてここで、ちょっと思い出した、昔のバカらしい話を1つ。

 

民法の最初のあたりの授業で、不動産の二重譲渡の問題について勉強します。177条あたりですね。そこで、不動産は買い取ったら、すぐに登記を移転しなければ、その後に出現するかもしれない後の登記済み買受人に対抗できない= 登記を先にしたほうが不動産の所有権を得る、という日本民法のイロハを学ぶわけです。

 

で、18歳で初めてこの解説を読んだときに、この2重譲渡の解決法については 「??」と感じました。だって、二重譲渡したやつは悪いやつ=犯罪者であって、そいつを罰すればいいだけじゃないか、と、まあ思ったわけです。

 

もちろん 二重譲渡人は横領、あるいは詐欺などの責を負うのですが、こうした刑事法とは別に、民事法的な所有権帰属という(実は経済的にはとても、あるいはさらに重要な)問題が存在するという感覚がまったく(子供すぎて)なかったのです。

 

これと同じことは、仲のいい友人も感じたと言っていました。18歳では、不動産所有権の帰属の問題なんて、ちょっと重要度がわからなさすぎるというわけです。

 

多分、法律を勉強したことがなければ、こうした仔細な対抗原則などは知らないかと思います。こうした些末な民事的な決まりは興味深いものでもないので、ほとんど人の興味を惹かないのは当然でしょう。

 

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さて、本題に入ると、『Very different legal systems』はフリードマンが書いているので、そこでは当然に、「刑事法のような公法と、不法行為法のような私法が、どう代替可能でありえるか?」 というような問題意識が濃厚に出ています。

 

犯罪は政府が取り締まるものであって、私的な報復は禁止、また賠償についての民事的な示談は犯罪性を(原則として)阻却しない、というのは、極めて近代社会的な法制度です。大きな政府の存在をある程度前提にしているということになりますか。

 

また別の視点で言うなら、犯罪とは個人の法益に対する侵害であると同時に、公共秩序の侵害でもあります。こう考えると、犯罪というほどに深刻な反規範行為は、政府秩序への叛乱とみなして、政府が独占的に取り締まるというのも当然かもしれません。

 

たとえば、少年の心には仔細な民法などは特に存在しないが、それでも刑法はしっかりと存在しています。このことから明らかなように、私的な解決には任せておけないほどに、社会的に重要なことがらが犯罪なのです。まあ、直感としての道徳感覚と呼べるようなものでしょうか。

 

 さて犯罪行為に対する公的な捜査・起訴は当然としても、最低賃金法、独占禁止法、その他は本当に公法として犯罪化する必要なんてあるんでしょうか? 仮にそれらが望ましくないとしても、別の形の不法行為として私法的な解決を探したほうが、はるかに効率的で、費用対効果が高いと思います。

 

なんでもかんでも お上がお裁きを下すというのは、大岡越前の見すぎでしょう。

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