On Genetic Interests: Family, Ethnicity, And Humanity in an Age of Mass Migration
- 作者: Frank Salter
- 出版社/メーカー: Transaction Pub
- 発売日: 2006/10
- メディア: ペーパーバック
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著者Salterの言っていることは単純だ。「遺伝的利益Fstは、キョウダイなら1/2, イトコなら1/8、、、、、。国民国家の他人の場合、およそ1/32 で、これはマタイトコに当たる。マタイトコを助けるのは、義務ではありえても、非難される行為ではない。」
なるほど、僕はマタイトコに当たる人にあったことはないが、その人が僕のところにやってきて何らかの助けを求めたなら、大分真剣に考えることになるだろう。だが、別段、同郷の任意の個人、あるいはある任意の日本人がやってきても、真剣に考えることはないだろう。
ここには、近交係数 Fst を理解していないという、無知、あるいは無理解があることは確かだ。(しかしこの事実を確認した後でも、助ける義務を負うとは感じないのが普通ではないか?? 実際、僕はこの本を4年前にも読んだが、日本人の近交係数の数値について忘れていたほどだ。)
どの程度のネポティズムが望ましいと感じるのかは、文化にも、あるいは個人にもよるだろう。僕の主観では、現代の日本社会の規範は、イトコ程度をこえたネポティズム一般に対して、中立的な程度でしかないように思われる。それよりも、実際の友人のほうに、はるかに大きな義務を感じる。
それでも、センカク・タケシマ問題を見て、日本人の側に立たない日本人はいないだろう。この意味では、僕も含めて、皆がやはり遺伝的利益に従った政治的な判断をしている。
ヨソモノ嫌いやむき出しのネポティズムなどはさておいても、(かつて重要であった)縄張り争いでは、やはり道徳判断に40億年の歴史が反映するということなのだろう。
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